「ジェネラルの心臓はもってあと数日」。
このラストに誰もがドキドキして、ドラマなのに「速水先生死なないで!」と誰もが思ったことでしょう。
今回は、『チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋』最終話のあらすじを振り返りながら、速水先生の病名と「チーム・ジェネラル」の活躍ぶりをもう一度見てみましょう。
『チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋』
医療監修・医療指導
放送日 | 2010年4月6日~6月22日 毎週火曜 22:00 – 22:54 |
脚本 | 後藤法子 山田あかね 徳永友一 田中眞一 |
演出 | 今井和久 植田 尚 星野和成 白木啓一郎(関西テレビ) |
プロデュース | 豊福陽子(関西テレビ) 遠田孝一(MMJ) 八巻 薫(MMJ) |
音楽 | 羽岡 佳 |
主題歌 | 松田聖子「いくつの夜明けを数えたら」 |
医療監修 | 原田智幸(東京女子医科大学救命救急センター) |
医療指導 (最終話) | 矢口有乃(東京女子医科大学救命救急センター) 武田宗和(東京女子医科大学救命救急センター) 及川恵子(東京女子医科大学救命救急センター) 角南博(藤井病院) 中濱一(福山市民病院循環器内科) |
看護指導 | 石田喜代美 |
撮影協力 (ロケ地) | 埼玉医科大学国際医療センター 横浜市立大学附属病院 埼玉医科大学日高キャンパス |
キャスト
東城医大病院救命救急センター(チーム・ジェネラル)
速水晃一(西島秀俊)
救命救急センター部長。第一外科(心臓血管外科)出身で血管内治療を得意とする天才外科医。
冷静沈着で鋭い洞察力を持っているが、何を考えているかわからない一面も持つ。チームの医師には厳しく冷たい言葉も言うが、時には冗談などを言うお茶目なところもある。
白鳥とは医学部時代の同級生。チュッパチャップスが大好き。
佐藤伸一 (木下隆行(TKO))
同センター副部長。専門は消化器外科。速水からは「佐藤ちゃん」と呼ばれて信頼されている。
速水の「誰一人受け入れを断らない」という強引なやり方や無茶振りには辟易しているが、速水の腕は認めているため黙って速水に従っている。
妻と子供三人の父親だが、救命の激務から家族と会えない日が続くことが多く、一度も子供の誕生日を祝ったことがない。
長谷川崇 (戸次重幸)
同センター救命医。第二外科出身で専門は脳神経外科。口数は少ないがここぞという時ははっきり言うタイプ。
速水にスカウトされてチームに入ったものの、速水のやり方には不満を抱いている。第4話で速水に「退職願」をつきつけるもあっさり破り捨てられてしまった。
和泉遥 (加藤あい)
チーム・ジェネラルで紅一点の救命医。男勝りで気が強く自分の意見をハッキリ言う性格。
幼い頃に出くわした城東デパート火災で速水に命を救われた一人。速水に信頼以上の感情を持っているため花房師長とぶつかる事が多い。
花房美和(白石美帆)
救命救急センター看護師長。控えめで真面目なベテラン看護婦。速水のサポート役で彼の傍らにいる事が多いため、和泉(加藤あい)からは疎まれている。
栗山弥生 (浅見れいな)
救命救急センター看護師。時には反発したり意地悪をすることもあるが、チームの様子をみながら成長していく。
滝沢秀樹 (松坂桃李)
研修医。冷静で知識が豊富。研修医の中では最も腕が良い。速水を救うために他の研修医と一緒に尽力する。
永山康友(足立理)
研修医。気弱な性格で、研修医の中では気後れすることもある。
浅野和彦 (竹内太郎)
研修医。
その他主要人物
田口公平(伊藤淳史)
心療内科医・特別愁訴外来責任者。救急精神医療責任者も兼任。愛称「グッチー」。
白鳥圭輔 (仲村トオル)
厚生労働省大臣官房秘書課付技官、医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長兼保険局特別監査室室長代理。速水とは医学部時代の同級生。
藤原真琴(名取裕子)
特別愁訴外来看護師。城東デパート火災が発生した時に処置現場にいたため、速水がなぜ「ジェネラル・ルージュ」と言われるようになったのかを知っている。
グッチーの良き相談相手。
高階権太(林隆三)
東城医大病院長。速水の収賄疑惑を上手に片付けたり、速水を地方の病院に飛ばして静養させるなど味方になってくれている。
速水晃一の病気は何だったの?
速水が命の危険にさらされた直接の原因は、もともと「悪性リンパ腫」を患い免疫力が低下していたところに何らかの理由で「トキソプラズマ」に感染したことで、「劇症型心筋炎」「網脈絡膜炎」「脳膿瘍」などを併発し心停止に至った。
最終回あらすじ「危篤」
速水が血を吐いて倒れた。意識レベルは「30」。心筋炎による心筋梗塞が考えられた。
佐藤ちゃん:「心カテ緊急で!」
間もなくVF(心室細動)。心臓マッサージ&DC2回で正常に戻る。
佐藤ちゃん:「よし、挿管して!」
カテーテル室にて冠動脈造影開始するも、右も左も異常なし。
佐藤ちゃん:「心不全の原因は心筋梗塞じゃないのか・・・?」
和泉:「原因は血管じゃなくて筋肉ってこと?」
速水はもともと「ホジキン型の悪性リンパ腫」を患っていたが、リンパ腫が脳だけじゃなく心臓にも及んでいるのなら、もってあと数日の命。万事休すかと思われた…
佐藤ちゃん:「先生!IABPを着けさせてください」
速水:「そんなの単なる時間稼ぎにしかならない。ムダな延命は望まない。俺のことよりさっさと患者のところに行け!」
チーム全員頭を抱えるしかなかった。
佐藤ちゃん:「速水先生なら、こんなときでも何か良い案が思いつくんだろうな。俺はあの人みたいになれないよ..」
和泉:「いつも堂々としてて、患者の前でビビったり迷ったりしなくて。」
その会話を聞いていた藤原看護師が語った。
違います。皆さんご存知ないんですか、速水先生がどうしてジェネラル・ルージュと呼ばれるようになったのか。
ホントはね。あの日救急車がどんどん押し寄せて上の先生たちもいない。私たちはまだ若い速水先生の指示を仰ぐしかなかったの。
『しっかりしなさい!真っ青よ。みんなあなたの指示を待ってるの!迷ってる暇はないのよ!』
その時花房師長が『司令官の弱気は部下に移ります』といって彼に真っ赤なルージュを差し出したの。
あの瞬間、速水先生はジェネラルになった。それからは先生の背中にまるで神様か悪魔が舞い降りたようだった。
本当は誰よりも怖がりで繊細で、それを隠してるだけ。たぶん、今もね。
不安も恐れもない人間は一流になんてなれません…。
状況は刻一刻と悪化の一途をたどる。O2「62」CO2「55」。挿管するなら今しかない。
速水「もういい..もう無駄だ..俺はもう..」
グッチー:「先生は医者でしょ!救命医でしょ!誰より命の重さを知ってる人がそんな簡単に命を諦めないで下さい!だってここにはジェネラル・ルージュが作り上げた最高のチームがあるじゃないですか!」
速水:「わかった、まかせるよ、佐藤ちゃん…」
直後に心停止。心マ、挿管、DCで一命を取り止めるも他になす術がない。人工心臓や移植も適応外。
白鳥:「でっかい悪玉のほかにちっちゃい悪玉がいたりして」
「???」
長谷川:「脳腫瘍+心不全は、悪性リンパ腫が原因と思ったけど、実行犯は別にいるのか?」
和泉:「リンパ腫って免疫機能を低下させるんですよね?そのせいで感染症がおきた…」
脳腫瘍を引き起こす感染症なんてあるのか?
長谷川:(CTを見て)「あっ、これは腫瘍じゃなくて膿瘍?」
チームの誰もが「悪性リンパ腫」による脳腫瘍だと思い込んでいたのだ。
免疫低下が引き起こす感染症なら大腸菌、肺結核、ウィルス性、原虫性、真菌性などの日和見感染が考えられる。
和泉:「そういえば速水先生、オペ中にまぶしそうにしていた事がある!」
長谷川:「もしかして網脈絡膜炎!」
速水の目には確かにその兆候があった。
速水の症状である『劇症型心筋炎、網脈絡膜炎、脳膿瘍、心不全』を引き起こす感染症は何?研修医たちが血液検査に走る。
滝沢:「トキソプラズマ陽性でした!」
健康な人ならせいぜい風邪程度ですむ感染症だが、リンパ腫で免疫が落ちていた速水には命取りだったのだ。
佐藤ちゃん:「ピリメタミン・スリファジアジン・ホリナートカルシウム開始!」
薬の効果があらわれ速水がうっすらと目を開ける。
速水:(佐藤ちゃんにむかって)「負けたよ、今度だけはな」
その後速水は、メディカル・アソートとの収賄疑惑が一件落着したものの、キャンディ代1,495円/月の責任をとって北海道の片田舎の病院に異動を命じられた。
しかしそれは「悪性リンパ腫」の治療のための高階院長(林隆三)の計らいだった。
そんな矢先、桜宮コンビナートで大規模な火災が発生する。その瞬間、彼は再び「ジェネラル」になるのだった。
人の生き死にを決めるのは神だ。俺は今から神になる
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
心カテ(心臓カテーテル) | 合成樹脂でできた細長く軟らかい医療用の管を足の付け根や腕、手首の動静脈から体の中に入れ血管に沿って心臓までもっていき、心臓の働きや病気の種類・重症度を調べる方法 |
VF(心室細動) | 心臓の心室という場所が不規則に細かく動き、全身に血液を起こることが出来ない状態 |
DC(直流除細動器) | 心筋に高エネルギーの電流を瞬間的に流し、その作用によって心筋に通常の興奮を起こし正常調律に回復させる。 公共の施設などに設置されている自動体外式除細動器が「AED」 |
IABP (大動脈バルーンパンピング) | バルーンのついたカテーテルを胸部下行大動脈内に留置し、心臓の拍動に合わせて、バルーンの収縮と拡張を繰り返すことで心臓を補助する圧補助循環装置 |
悪性リンパ腫 | 白血球の中のリンパ球ががん化したもの |
劇症型心筋炎 | ウイルスや自己免疫、薬剤への過敏症などが原因で心臓に炎症が生じる病気。 症状が強いと(劇症型)各臓器に十分な血液が行き届かなり多臓器不全を引き起こす。致死率は20~60%。 |
網脈絡膜炎 | 眼球の奥に位置する網膜や脈絡膜と呼ばれる組織におこる炎症 |
膿瘍 | 組織のなかに膿がたまった状態のこと |
日和見感染 | 健康な人に対しては病原性を発揮しない病原体が、宿主の抵抗力が弱っている時に病原性を発揮しておこる感染症のこと |
トキソプラズマ感染症 | トキソプラズマという寄生性原生生物(原虫)により起こされる感染症。免疫不全者には重篤な症状を引き起こす |
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「医療ドラマまにあ」としての感想
「ジェネラル・ルージュの凱旋」いったい何回見たんだろう。かなり前の作品なのに今見ても何の違和感もない。
特にこの作品は、その病気をどう発見してどのように治療したか、1話ごと完結のストーリーになっていて、正に医療ドラマの王道と言っても過言ではないでしょう。
百戦錬磨を戦ってきた速水先生が命の危機にさらされる最終回は、当然のことながら一番見ごたえがあり、ひょっとして悲しい結末にならないかとハラハラしたものです。
「白い巨塔」でも「白い影」でも最期はドクターが死んでしまうけど、『救命』をテーマにするのであればこういうラストがうれしいですよね。
さらに「チーム・バチスタシリーズ」の良いところは、「悪性リンパ腫」を完治させて東城医大に戻ってきたジェネラルが「チーム・バチスタ4螺鈿迷宮」でドクターヘリに乗って駆けつけたり、「チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像」でも勇姿が見れるなどストーリーがつながっていることです。
それはまさに海堂尊ワールド!
一話一話も面白いけど、全てのシリーズを見てこそ本当の面白さが味わえますよ!