医療漫画の元祖といえば手塚治虫の「ブラック・ジャック」。
実写版はこれまでに5回制作されていますが、今回は2000年~2001年にかけて制作された、本木雅弘(通称:モッくん)バージョン3部作をご紹介します。
ちなみに最近の若い方は「モッくん」を知らない方も多いはず。記事のおわりに本木雅弘さんのプロフィールもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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「ブラック・ジャック」本木雅弘実写版
スタッフ
「ブラック・ジャック」本木雅弘実写版は、
- カルテⅠ「臓器農場行き幽霊バス」
- カルテⅡ「天才女医のウェディングドレス」
- カルテⅢ「悲劇の天才料理人」
の3部構成となっていますが、スタッフは全て共通です。
演出 | 堤幸彦 |
脚本 | 清水東 |
音楽 | 辻陽 |
プロデューサー | 植田博樹(全話) 伊佐野英樹(カルテI) 三城真一(カルテII) |
協力 | 手塚プロダクション |
制作協力 | オフィスクレッシェンド |
原作とは異なる部分が多いものの、『金田一少年の事件簿』『TRICK』『20世紀少年』などを手掛けた堤幸彦作品とあらば、面白さがプラスされているのは言うまでもありません。
ちなみに演出の堤氏は、制作会社の「オフィスクレッシェンド」の役員をされており、最近では妻夫木聡『Get Ready!』も同社の作品。
どうりで妻夫木くんがブラックジャックっぽかったわけだ!
主人公
◆ブラック・ジャック/本木雅弘
無免許の天才外科医。自身を世界一の外科医と称し、「医師が技術に見合う報酬を要求することは当然」というポリシーのもと、患者に高額な治療費を要求する。
反面なさけ深いところもあり、患者の置かれた状況によっては治療費を安くしたり、全く請求しないことも一度や二度ではない。
◆ピノコ/中山詩央里、中山紗央里
自称「ブラック・ジャックの奥さん」。オペの時は機械出しもつとめる。本木版のみ双子に設定され、いつも同じ言葉を同時にしゃべる。口癖は「アイアイサー」と「アッチョンブリケ」。
カルテⅠ「臓器農場行き幽霊バス」
カルテⅠは漫画にはない完全オリジナルストーリーです。
ゲスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
佐山玲子 | 永作博美 | 刑事。努の母親。夫も刑事だったが殉職している |
佐山 努 | 三觜要介 | 玲子の息子。重い心筋症を患っており心臓移植をしないと助からない |
松崎五郎 | 吹越満 | 組織の運び屋 |
戸山啓子 | 柴咲コウ | 五郎の恋人 |
井上真智子 | 赤坂七恵 | 努の担当看護師 |
諸岡修三 | 岸部一徳 | 大病院の院長であり、臓器売買の黒幕 |
あらすじと見どころ
刑事の玲子(永作博美)は、重い心筋症を患い長期入院している努(三觜要介)の面倒をみながら、ある密売組織を追いかけていた。
組織に撃たれ、ブラックジャックに助けられた運び屋の松崎も(吹越満)その一人だったが、意識が戻らぬまま遺体で発見される。
その頃、努を担当する看護師の真知子(赤坂七恵)は、努が言っていた「幽霊バス」が気になり、午前0時に幽霊バスが出る噂される場所に行ってみることに。
そこで「幽霊バス」に乗せられた患者たちを目撃してしまった真知子も、一度はブラック・ジャックに助けられるも口封じのために消され、臓器を抜かれてしまう。
裏に臓器売買が絡んでいると睨んだ玲子は、ある大病院の院長、諸岡(岸部一徳)にたどり着くが、彼もまた心臓移植でしか助からない病を抱えており、ブラックジャックに「良いドナーが出たから移植手術をしてほしい」と依頼していたのだ。
「そんなやつ、生きる価値はない」と乗り込んでくる玲子だが・・・。
クライマックスの二つのオペ。一人は生きる価値のない極悪人で、もう一人は未来ある少年の命。どちらも手術は成功するも、情け深いブラックジャックならではの驚きの結末が見もの!
カルテⅡ「天才女医のウェディングドレス」
原作:「タイムアウト」「ブラッククイーン」「BJ入院す」
ゲスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
高野綾子 | 松雪泰子 | 外科医。資産家との結婚が決まっている |
源三 | いかりや長介 | ブラックジャック邸を建てた大工。通称「源さん」 |
町山タカシ | 大高力也 | 鉄骨の下敷きになった子供 |
横山めぐみ | タカシの母 | |
槍杉孝夫 | 板東英二 | 鉄骨を過重して事故を起こした槍杉建設の社長 |
山崎一 | 源三のスリを盗み撮りしたカメラマン | |
鈴木史朗 | 綾子の結婚式の司会者 | |
高橋克典 | 源三の麻雀仲間 |
あらすじと見どころ
ブラック・ジャックは、トラックから落ちてきた鉄骨の下敷きになっている少年に出くわす。ただし、手も足も鉄骨に挟まれているため、命を助けるには切断して後からつなぎ合わせるしか方法はない。
ブラック・ジャックもまた、大事な右腕に大けがを負ってしまうが、少年は天才外科医の綾子(松雪泰子)の元に搬送され、命も四肢も無事に助けることができた。
その頃、かつてブラック・ジャックの家を建ててもらったことがきっかけで親しくなった大工の源三(いかりや長介)は、スリやギャンブルでその日ぐらしをしていたが、かつて自分が捨てた妻と娘のことを忘れたことはない。
ある日、源三の娘が天才外科医の綾子であることをかぎつけたカメラマン(山崎一)は、源三のスリの現場を盗撮し、娘に黙っていることと引き換えに1000万を要求。しかし、受け渡しの場でブラック・ジャックがわざと投げたメスが胸に刺さり、治療費として1000万を取り返すことに成功する。
そんな矢先、源三が腎臓がんで倒れる。ブラックジャックはまだ手の傷が完全に治っていないため、綾子にオペを依頼。「医者の義務としてオペする」と口では言うものの、父に対する恨みは消えず手が止まってしまう。
ブラックジャックは、かつて綾子が移植された腎臓が、実は源三の腎臓で執刀も自分がしたことを告げる。つまり、源三の体には腎臓が一つしかなく、その一つが癌に冒されているというわけだ。
綾子は源三を助けることができるのか・・・。
改めていかりや長介さんの存在感を感じるドラマ。また、ブラックジャックが悪い奴らをぶった切るシーンは爽快!源三と綾子がそれぞれ別の場所で口ずさむ「浜辺の歌」が涙を誘います…
カルテⅢ「悲劇の天才料理人」
原作:「ふたりの黒い医者」「弁があった!」
ゲスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
ドクター・キリコ | 森本レオ | 自称「安楽死ドクター」 |
鳩中幸一郎 | 大林丈史 | 先祖代々、胸が膨らむ奇病を患っている |
鳩中カネ子 | 片桐はいり | 幸一郎の妻 |
赤石誠一郎 | 蟹江敬三 | 高級レストラン「マフィーユ」のオーナーシェフ |
河合健 | 池内博之 | 誠一郎の愛弟子 |
赤石みゆき | 須藤理彩 | 誠一郎の娘 |
叶姉妹 | 「マフィーユ」の客 |
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あらすじと見どころ
胸がどんどん膨れるという政治家・鳩中(大林丈史)の奇病を治したブラック・ジャックとピノコは、お礼として超高級なフレンチレストランに招待される。
その店は以前訪れたことがあり、ブラックジャックが正直に「味が落ちた」とシェフの赤石(蟹江敬三)に伝えると、赤石は腹を立ててブラックジャックたちを店から追い出してしまう。
実は赤石は、脳腫瘍のために舌の感覚が落ちていたのだ。そこに現れたのが安楽死医のドクター・キリコ(森本レオ)。キリコは自分の出番だと意気込むが、赤石にはフランス首相の会食を成功させるという目標があった。
赤石には、自分の味覚障害を指摘して解雇してしまった、健(池内博之)という愛弟子がいて、娘のみゆき(須藤理彩)とともにシェフを陰ながら支え、何としても会食を成功させようと奔走する。
そんな矢先、自身の未来に悲観した赤石が飛び降り自殺を図る。赤石は幸い植込みの上に落ちたため一命を取り留めるが、赤石を受け止めようとした健のほうが、肋骨が内臓にささり瀕死の重傷を負ってしまう。
赤石は、自分の代わりに重傷を負った健の行為を無駄にしないため、自身の記憶力と料理の勘をたよりにフランス首相の会食を進めようとするが、肉料理のソースが思うように作れず、しびれをきらした首相たちは怒って帰ってしまう。
店はどうなってしまうのか?健の命は?
胸がどんどん膨れる奇病の秘密や、脳腫瘍のよる味覚障害、また内臓から折れた肋骨を摘出するなど医療色が強い。原作とは少々雰囲気の異なるドクター・キリコも見もの。
「ブラック・ジャック」を見るならツタヤディスカス
「ブラック・ジャック」を見るなら ツタヤディスカス がおすすめです。なぜなら、今回ご紹介した実写版のほかにも、下記の「ブラックジャック」も見られるからです。
ちなみに、本木雅弘実写版はParaviでも配信していますが、貴重な加山雄三版や、岡田将生の「ヤングブラック・ジャック」はレンタルのみです。
本木雅弘プロフィール
本名 | 内田 雅弘(うちだ まさひろ) |
生年月日 | 1965年12月21日(57歳) |
血液型 | A型 |
スタイル | 身長:174cm、体重:68kg |
家族 | 樹木希林(義母・故人)女優 内田裕也(義父)歌手 内田也哉子(妻)エッセイスト・女優 内田雅樂(長男)「UTA」で芸能活動 内田伽羅(長女) 内田玄兎(次男) |
代表作 | 2年B組仙八先生 大河ドラマ「徳川慶喜」 大河ドラマ「麒麟がくる」 おくりびと 日本のいちばん長い日 など |
事務所 | ジャニーズ→メンズアート(個人事務所) |
最近の若い方にとって本木雅弘は俳優のイメージがあるかもしれませんが、デビューは正真正銘ジャニーズ。「シブがき隊」という3人組アイドルで「モッくん」の愛称で親しまれていました。
40年前のデビュー曲がこれ。(正面右のレッド)
俳優活動は1988年に「シブがき隊」を解散してから。
2008年度の「おくりびと」では、第32回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、第51回ブルーリボン賞主演男優賞など9個の賞を総なめし、俳優としての座を確立していきました。
結婚は1995年、義母にあたる故・樹木希林さんから、「也哉子は一人娘で、内田家を残したいから婿養子になって欲しい」と頼まれ、内田家の婿養子となったのだとか。
長男のUTAくんは、身長190㎝というスタイルを活かし、モデルとして海外で活躍しています。どことなく似てますよね。
最後に
最近、闇医者をテーマにした『Get Ready!』や、10歳の少女がオペをする『Dr.チョコレート』が、ブラック・ジャックのパクりじゃないか、などと指摘する記事が散見されますが、私はその指摘自体、憤りを感じます。
医療ドラマが時代を映す鏡であるならば、「ブラック・ジャック」は1973年以降、医療漫画や医療ドラマを牽引してきた作品であり、手塚治虫の理念「命を救うことは、常に正しいことなのか」を如実に表した秀作だからです。
「ブラック・ジャック」以上に医療の原点が詰まっている作品はなく、現役医師たちがこぞって読む漫画であることも何よりの証拠でしょう。
つまりどの作品も「似て非なるもの」であり、「ブラック・ジャック」を超える作品は現れないというのが私の想いです。