知念実希人ってどんな人?代表作やおすすめの小説も紹介

医療ドラマまにあ ドラマ
Mikito Chinen
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最近、最も勢いのある「現役医師で小説家」といえば内科医の知念実希人先生でしょう。

「仮面病棟」「祈りのギフト」「となりのナースエイド」などドラマ化された作品も多く、ドラマからその名を知ったという方も多いはずです。

知念先生の代名詞とも言える「天久鷹央シリーズ」のアニメ化も決定し、知名度もうなぎ昇り!

現役医師の書く小説がゆえに医療知識満載のあらすじは、医療オタクを自負する私にとってどれも血が騒ぐものばかりです。

そこで今回は、知念実希人医師のプロフィールや代表作、おすすめの小説をご紹介します。

早速、知念ワールドに足を踏み入れてみましょう。

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知念実希人医師ってどんな人?

沖縄の海

プロフィール

1978年10月12日、沖縄県南城市生まれ、45歳。
2004年、東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。日本内科学会認定医。

お母さまの故郷である沖縄で生まれてからほどなく東京に戻り、夏休みなどはコバルトブルーの沖縄で過ごすという生活だったといいます。

子供の頃は「小説家になりたい」という夢があったものの、曽祖父、祖父、父、弟、伯父、いとこ全て内科医の家系に育ったこともあり、自然と医学の道に進んだと話しています。

全員内科なんですね、すごい。

現在も、お父様が開業している内科クリニックで非常勤医師として勤務されています。

医療法人社団 新泉会 知念医院
https://www.nishitokyo-med.jp/search/clinic.php?stel=042-467-7788

受賞履歴

2011年 『誰がための刃 レゾンデートル』(レゾン・デートル)で第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞

2012年 作家デビュー

2015年 『仮面病棟』第9回啓文堂大賞・文庫大賞

2018年 『崩れる脳を抱きしめて』第4回沖縄書店大賞・大賞/第8回広島本大賞受賞

2020年 『ムゲンのi』第6回沖縄書店大賞・大賞

2018 – 2020年 『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』で3年連続本屋大賞ノミネート

2022年 『硝子の塔の殺人』第8回沖縄書店大賞・準大賞

2024年 『放課後ミステリクラブ1 金魚の泳ぐプール事件』第21回本屋大賞第9位受賞

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知念実希人代表作

知念実希人医師の作品はシリーズごとに展開され、それぞれ違った趣で楽しむことができます。

以下、シリーズごとの代表作を紹介します。

「死神」シリーズ

ゴールデンレトリバーの「レオ」、黒猫の「クロ」などが人間界に降り立ち、迷える人間どもを癒し導くハートフルミステリー。動物好きの方なら涙なくして読めません。

  • 優しい死神の飼い方(2013年11月 光文社 / 2016年5月 光文社文庫)
  • 黒猫の小夜曲(2015年7月 光文社 / 2018年1月 光文社文庫)
  • 死神と天使の円舞曲(2022年5月 光文社)

「天久鷹央」シリーズ

天医会総合病院、統括診断部の女医「天久鷹央(あめくたかお)」と助手の「小鳥遊優(たかなし ゆう)」が「診断困難」とされる病気の謎を紐解くメディカルミステリー。

天才外科医を中心とした医療ミステリーが多い中で、「天久鷹央」シリーズは診断医という内科的視点からトリックを暴いていくもの。

あらすじは内科医師だからこそ書けるストーリーで、「なるほど~」と頷くものばかりです。

「病棟」シリーズ

療養型病院で当直をしていたアルバイトの医師が、ピエロのマスクを被ったコンビニ強盗犯に襲われて病院を占拠されてしまうという医療サスペンス。

深夜の病院&ピエロという普通のサスペンス小説に思えますが、実は病院の裏の顔に踏み込み、医療問題を指摘したれっきとした医療小説なのは、さすが現役医師の書くミステリーと言えるでしょう。

・仮面病棟(2014年12月 実業之日本社文庫 / 2019年12月 実業之日本社ジュニア文庫 / 2020年2月 実業之日本社)
・時限病棟(2016年10月 実業之日本社文庫)

「祈りのカルテ」シリーズ

医療小説といえば「研修医」ものは外せません。純正会医科大学を卒業し、同大学附属病院に研修医として入った諏訪野良太が各課をめぐりながら成長していく様を描いたシリーズです。

このシリーズも内科医らしく「カルテが全てを教えてくれる」という考え方のもと、一見見逃してしまいそうな患者情報から確定診断をしていくという、まさに「医療の謎解き」。

「再会のセラピー」では、30歳になった諏訪野良太が、医学生時代の同級生で親友でもある「小鳥遊優」(天久鷹央シリーズ)と再会し、飲みの席で思い出に残る患者について語り合うというハートフルな作品です。

祈りのカルテ(2018年3月 KADOKAWA / 2021年2月 角川文庫)
・祈りのカルテ 再会のセラピー(2022年8月KADOKAWA )

「神酒クリニックで乾杯を」シリーズ

会員制バーのような建物で病院には見えない「神酒クリニック」は、大学病院にも引けを取らない医療設備と、腕は良いが訳ありの医師たちがVIP患者を相手に治療を行っている秘密の場所。

そこに飛ばされてきた外科医・九十九勝己が事件を解決していく風変りな医療ミステリーで、2019年にはドラマ化されました。

・神酒クリニックで乾杯を(2015年10月 角川文庫)
・神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶(2016年4月 角川文庫)

「放課後ミステリクラブ」シリーズ

「放課後ミステリクラブ」シリーズは、知念実希人唯一の児童文学書です。

主人公を小学校4年生に設定しているため、漢字にはすべてふりがなが付けられ、子どもでも一人で読めるように配慮されています。

ただしトリックは本格的。

知念先生曰く、子供の頃からミステリー小説や謎解きの面白さに触れ、読書の楽しさを子どもたちに知ってもらいたいと語っています。

・放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件(2023年6月 ライツ社)
・放課後ミステリクラブ 2雪のミステリサークル事件(2023年10月 ライツ社)
・放課後ミステリクラブ 3動く亀の銅像事件(2024年2月 ライツ社)

\ 2024年度 本屋大賞受賞! 

放課後ミステリクラブ 1(金魚の泳ぐプール事件) [ 知念実希人 ]

その他

崩れる脳を抱きしめて(2017年9月 実業之日本社 / 2020年10月 実業之日本社文庫)
・ひとつむぎの手(2018年9月 新潮社 / 2021年5月 新潮文庫)
十字架のカルテ(2020年3月 小学館)
・硝子の塔の殺人(2021年7月 実業之日本社)
となりのナースエイド(2023年11月 角川文庫)
・誰がための刃 レゾンデートル(2012年4月 講談社)
・ムゲンのi(2019年9月 双葉社【上・下】 / 2022年2月 双葉文庫【上・下】)
・機械仕掛けの太陽(2022年10月 文藝春秋)

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知念実希人おすすめ小説8選

現役医師である知念実希人作品は、医療従事者でしかわからないトリックやミステリーを中心にした作品が多い中で、柔らかいタッチの恋愛系やファンタージー作品などジャンルの幅が広いのが特徴です。

また、医療用語がふんだんに使われているにも関わらず素人でも読みやすく、思わず一気読みしてしまう作品ばかりです。

以下、医療オタクを唸らせた8作品をご紹介します。

幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ

天久鷹央の推理カルテ|TVアニメ化決定!

2016年8月発行 全318ページ

あらすじ

手術室で起きた密室殺人。記録用のビデオには、一人の麻酔医が「見えない誰か」と格闘し、最後には喉を切り裂かれて絶命する瞬間が映し出されていた。

その場にいたのは麻酔医と、盲腸の手術が終わったばかりで意識がもうろうとしている患者のみ。

その患者とは天医会総合病院統括診断部で研修医をしている鴻ノ池舞。小鳥遊と鷹央は鴻ノ池の疑惑を晴らすために奔走するが、状況は鴻ノ池舞が犯人であることを示していた。

感想

「天久鷹央」シリーズ第二弾。私が知念作品にハマるきっかけとなった作品です。

現役医師ならではの知識を詰め込んだトリックに、思わず「なるほど、そういうことか〜」と何度つぶやいたことか。

ラストに発覚する恋愛ドラマさながらの展開も、この作品の面白さを倍増させています。

長編小説でありながら、続きが気になって一気読みしたくなる秀作です。

祈りのカルテ

2021年02月発行 全268ページ

あらすじ

諏訪野良太が研修中の純正会医科大学附属病院に、睡眠薬を大量に服用した患者が緊急搬送される。

離婚してから睡眠薬を服用するようになり何度も搬送されているというが、彼女の腕には別れた夫の名前が刻まれていた。

カルテには『境界性パーソナリティ障害』と書かれているが、入院後は順調に回復し毎月5日をめがけて退院していることに違和感を持つ良太。

感想

純正会医科大学附属病院で初期研修中の諏訪野良太が、患者のカルテから真実を導き出す医療ミステリー。

「読書メーター」の読みたい本ランキングで1位を獲得、累計10万部を突破したヒット作。

2022年10月には、玉森裕太(Kis-My-Ft2)主演でドラマ化も実現しました。

数ある医療小説の中で、「カルテが真実を知っている」という観点は医師だからこそ描けるストーリーであり、新人研修医の良太が患者の心の闇に寄り添いながら成長していく姿に、思わず拍手を送りたくなります。

各診療科の特徴もわかり、読み甲斐のある作品の一つです。

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十字架のカルテ

2022/11発行 全368ページ

あらすじ

同僚を刺殺した罪に問われている桜庭瑠香子は過去にも殺人事件を起こしているが、「解離性同一性障害」、いわゆる多重人格と診断されて不起訴となっていた。

その時の被害者である親友の無念を晴らすべく精神鑑定医となった凛は、立場を忘れ相手を目の前にして激高してしまう。

ベテラン鑑定士の影山からは鑑定医失格のレッテルを貼られ落ち込む毎日だったが、とうとう親友を殺した犯人として裁判にかけられることになった。

そこに待っていたのは、言葉にするのがはばかられるほどの犯人の生い立ちだった。(第5話)

感想

法医学を題材にした短編集。本当に精神障害を患っているのか「詐病」なのかを見分ける心理戦は圧巻で、精神鑑定という重苦しいテーマを身近なものにしてくれた一冊です。

「天久鷹央」シリーズのような軽いテンポではありませんが、一発逆転の結末が待っているのは知念作品ならではの面白さでしょう。

『心身喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑は軽減する。』だったらその罪は誰が背負うのか。

読み進めるごとにタイトルの意味を考えさせられる作品です。

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崩れる脳を抱きしめて

2017年9月発行 全367ページ
2018年第8回広島本小説部門大賞、2018年度沖縄書店大賞受賞、2018年本屋大賞第8位

あらすじ

研修医の碓氷蒼馬は実習先の「葉山の岬病院」で脳動脈瘤がいつ爆発してもおかしくない弓狩環(ユカリ)と出会う。

蒼馬は、ひょんなことから回診後の待機時間にユカリの病室で勉強することになり、毎日接しているうちにユカリに好意を抱くようになる。

1ヵ月の研修期間が終わり、広島に帰る前に告白しようと決心するがユカリは拒絶。離れ離れになったある日、弁護士から弓狩環の死を知らされる。

ただし亡くなったのは葉山の岬病院ではなく横浜で死んだという。蒼馬はユカリの死を疑問に思い葉山の岬病院を訪れるが、そこで驚愕の事実が告げられる。

感想

ミステリーでもないサスペンスでもない、淡いタッチのラブストーリーで物語は始まります。

余命いくばくもない女性と研修医の恋・・・。そんな物語が一転してサスペンスに変わっていく瞬間、そして意外な結末と二転三転する面白さは、知念作品ならではの特徴でしょう。

知念先生曰く「僕にしか描けない恋愛小説です」という言葉がうなずける大作です。

となりのナースエイド

2023年11月発行 全368ページ

あらすじ

外科医の澪は、半年前の姉の死をきっかけにPTSDを発症し、医療行為を行おうとするとパニック発作に襲われるようになっていた。

事情を知った星嶺大学医学部附属病院統合外科主任教授の火神郁男は、澪を外科医ではなくナースエイドとして採用するが、その背景には誰も知らない陰謀が隠されていた。

感想

ナースエイド(看護助手)という医療従事者を主人公とした斬新な医療ミステリー。

この小説は、2023年10月にドラマ化された『祈りのカルテ』のプロデューサーから、ナースエイドを題材とした小説の執筆を持ちかけられたことで書き下ろされた小説です。

2024年1月に同じくドラマ化されましたが原作とは異なり、かなりエンタメ色の強いドラマに仕上がっていました。

原作の方がスリルがあり途中で止まらなくなる面白さです。

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羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ

2024年2月発行 全272ページ

あらすじ

御子神氷魚は天久鷹央が唯一「先生」と尊敬する人物。鷹央が診断医の道を志すきっかけになった学生時代の恩師だ。

不治の病に冒されており余命いくばくもなかったが、「自分に何かあったら調べてほしい。頼んだよ……鷹央君」というメッセージを残し謎の死を遂げる。

鷹央は恩師の真意を知るため捜査を開始するが、鷹央の頭を持ってしても「密室の謎」が解けず行き詰っていた。【Karte.3 残された挑戦状】

感想

天久鷹央シリーズの最新作。【Karte.1 禁断の果実】【Karte.2 七色の猫】【Karte.3 残された挑戦状】の短編3部作で構成されています。

知念作品の良いところは、どんな作品にも「切なさ」があり心に何かを残してくれること。どの作品も人間の愚かさが赤裸々に描かれ、医療×ミステリー×ヒューマンドラマといったさまざまな要素が組み込まれています。

また、謎解きが二転三転したかと思ったらさらにその奥に新たな展開が。他の「天久鷹央シリーズ」も読んでみたい!と思わせる1冊です。

黒猫の小夜曲(セレナーデ)

黒猫の小夜曲

2018年1月発行 全392ページ

あらすじ

町に漂う地縛霊らを救うために地上に降り立った「クロ」。

「クロ」は猫の姿を借りて記憶喪失の魂、遺した妻に寄り添う夫の魂、殺人犯を追いながら死んだ刑事の魂など、この世に未練を残して地縛霊となった人々を救済するために奮闘する。

そんなある日、クロは数々の死の背景に、ある製薬会社が絡んでいることに気づく。

感想

「僕はネコだ。まだ名前はにゃい。」
この1行で猫好きの心をわしづかみにするなんて、さすが猫好き医師の知念先生です。

猫のクロが「にゃ!」と話すたびに何度クスっと笑ったことか。ただし、その背景にはしっかりとミステリー要素もあり決してほんわかするだけの小説ではありません。

この作品は「不治の病」といわれた難病に対する製薬会社の陰謀がテーマですが、他の作品よりも医療色が少なくグロい表現が苦手の方でも大丈夫。

感動のラストは、多くの死に向き合ってきた医師だからこそ書ける作品と言えるでしょう。

猫好き必見です。

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生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ

知念実希人おすすめ本

2022年8月発行 全320ページ

あらすじ

東京から新横浜へ向かう新幹線で、移植のための心臓を運んでいたコーディネーターが何者かに襲撃され、臓器が奪わてしまう。

捜査が暗礁にのり上げる中、同じような事件が天久鷹央のいる「天医会総合病院」でも発生。

生命のリレーの最中、踏みにじられる死者たちの遺志。いったい誰が、何の目的で? 

天久鷹央は真相解明に乗り出すが、その動機は思いもよらぬものだった。

感想

医療好きにはたまらない「臓器移植」がテーマ。おまけに実際に海外などで行われている「違法臓器売買」を取り上げた本格的な医療ミステリーです。

その背景には「脳死」を死と受け入れにくい国民性による脳死移植の少なさがあることも指摘するなど、小説と言えども医療現場に即したリアルな展開になっています。

ただし、そこは天久鷹央の事件カルテだけあってテンポの良いスリリングな展開は健在。

エンディングはちょっと辛いけど、「天久鷹央の事件カルテシリーズ」の中では絶対に制覇しておきたい作品の一つだと思います。

まとめ

今回紹介した作品は以下のとおりです。

・幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ
・祈りのカルテ
・十字架のカルテ
・崩れる脳を抱きしめて
・となりのナースエイド
・羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ
・黒猫の小夜曲(セレナーデ)
・生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ

文字のみの小説はドラマのようなエンタメ性はないものの、キャラクターの心情やストーリー展開を自分の頭の中で際限なく繰り広げることができます。

また、言葉の力(言霊ことだま)は想像以上に勇気をくれるもの。「笑いあり涙あり感動あり」の知念作品をぜひご堪能ください。

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