プロフェッショナル仕事の流儀|再建外科医 山本匠のプロフェッショナルとは

国立国際医療研究センター ドキュメンタリー
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形成外科医の山本匠医師は、「スーパーマイクロサージャリー」という超微小外科手術で9000本以上のリンパ管をつないできた、形成外科のスペシャリストです。

高い技術力で世界をリードする山本医師が、満を持してドキュメンタリー「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場。

この記事では、ドキュメンタリー「心までをも、つなげてこそ 〜再建外科医 山本匠〜」のあらすじや視聴方法について解説します。

医療の最先端を、ぜひその目でお確かめください。

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「心までをも、つなげてこそ 〜再建外科医 山本匠〜」

引用:X公式
  • 初回放送日:2024年1月31日 NHK
  • 出演:山本匠 光嶋勲 他国立国際医療研究センターの皆さま
  • 語り手:貫地谷しほり

<山本匠先生プロフィール>

2007年 東京大学 医学部医学科 卒業
2017年 国立国際医療研究センター 形成外科 科長
2018年~ 国立国際医療研究センター 国際リンパ浮腫センター センター長(現職)

ドキュメンタリーの内容と見どころ

0.2ミリの神経束をつなぐスペシャリスト

山本先生は、「スーパーマイクロサージャリー」と呼ばれる超微小外科手術が可能な日本でも数少ない形成外科医。

1~2mmの血管吻合が一般的で、0.5mm以下の吻合はほとんどの医師が二の足を踏むなかで、0.2ミリの神経束を一つづつ繋ぐという気の遠くなりそうな技術の持ち主だ。

山本先生にスーパーマイクロサージャリーを伝授したのは、東京大学の恩師である光嶋 勲 先生。

リンパ浮腫に対するスーパーマイクロサージャリーの権威で、現在も広島大学病院国際リンパ浮腫治療センター特任教授として活躍中のドクターだ。

1分の1へのこだわり

山本先生が1分の1、つまり「チャンスは一度きり」にこだわるのは、ある少年との出会いがある。

それは、山本先生の日本での活躍を聞きつけたアメリカの医師からの依頼で、アメリカのボストンに赴いた時の出来事だ。

事故で親指を欠損した12歳の少年は、指の動きに制限があり不便を感じる毎日。山本先生は診察のあと、足の指を使って関節ごと親指に移植する計画を立てた。

ただし手術そのものは成功したとしても、少年が望む以前のような動きが回復する保障はない。さらに足の指を欠損することによるリスクも考えられ、苦渋の決断を迫られる。

結局、山本先生が出した結論は「手術しない」。理由は、少年や家族の期待値を超える可能性が低いから。

「手術をすることで前より良い状態にしなければならない」と断言する。

再建するのは人生

山本先生は「再建するのは人生」だと語る。その証拠に自身のことを「形成外科医」ではなく「再建外科医」と呼ぶ。

42年間足のむくみに悩み続けている女性

その女性は子宮頸がんの手術をした42年前から足の「リンパ浮腫」に悩まされている。リンパ浮腫そのもので命を落とす可能性は少ないが、進行すると歩けなくなる場合も少なくない。

リンパ浮腫によって皮下組織に溜まったリンパを静脈に流す手術を実施。

透明で見えにくいリンパ管を丁寧に剥離し血管とつなぐ。血管内部にふれると血栓症を起こす恐れがあるため一瞬たりとも気が抜けない。

従来、吻合は1ミリが限界と言われ多くの医師が敬遠する中、「スーパーマイクロサージャリー」を操れる山本先生なら0.5ミリ以下も可能だ。

危険を伴う手術に反対意見やバッシングも多いが、山本先生は「トレーニングすればいいだけじゃん」とあっさり吐き捨てた。

リンパ浮腫とは

がんの治療部位に近い腕や脚などの皮膚の下に、リンパ管に回収されなかった、リンパ液がたまってむくんだ状態のことをリンパ浮腫といいます。リンパ液はタンパク質を高濃度に含んだ液体です。
治療直後にリンパ浮腫が生じることもあれば、10年以上経過してから生じることもあります。

引用:がん情報サービス

60代男性 交通事故で顔面を負傷

交通事故で顔面を負傷した男性は、顔の再建をするために3回手術を行い安定したかと思われたが、あごの骨に細菌が感染していることが判明。

放っておけば菌が全身に及び危険な状態になるため、あごの骨を切り取って足の骨を移植するという、高難度の手術が必要だ。

皮膚が硬いため繋ぎにくいこと、血管が薄いのでちぎれる可能性があることなどリスクは高かったものの6時間かけて一旦オペは終了。

ただし、患者さんの「あごの感覚を取り戻したい」という希望を確固たるものにするため、歯茎の感覚につながる神経の吻合も実施。9時間半後ようやく終了した。

37年間リンパ浮腫に悩まされる男性

37年前からリンパ浮腫に悩まされ象皮症を患っている男性は、足がパンパンに腫れあがり、定期的に襲ってくる高熱と戦いながら治療をつづけている。

根治は難しいと言われているが、患部の皮膚と脂肪を剥がし、腹部から採取した正常なリンパ節を足に移植、その上に皮膚移植を行うことで少しづつだが苦痛が緩和されているという。

象皮症とは

リンパ浮腫などが進行し、皮膚や皮下組織が著しく増殖して象の皮膚の様相を呈する状態のこと

引用:東京歯科大学市川総合病院

医師としての転機

山本先生は、29才の時に出会った「顔面神経まひ」の女性患者が医師としての転機になったと語る。

顔面神経まひの治療として、筋肉を移植して顔の血管と神経をつなぐ手術をしたが麻痺は改善されず。その後3回のオペを実施したものの結局麻痺は治らず、医師としての未熟さを痛感したという。

患者の女性からは感謝されたが、手術をしたことが正しかったのか、やらなければ良かったのではないかと自問自答する日々が続く。

山本先生曰く、人見知りで空気の読めない自分が「このことがきっかけで人の生活や話しに耳を傾けるようになった」と語る。

谷川先生にとってのプロフェッショナルとは

「満足しないことですかね…完璧な手術は存在しない。
ってことは絶対に満足しちゃいけないですよね」

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「心までをも、つなげてこそ 〜再建外科医 山本匠〜」視聴方法

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最後に

形成外科は命に直結する仕事ではないが、「医療のすきまを埋める医療」だと自負する山本医師。

夜中の3時まで吻合の練習を重ね、リスクを0.1から0.01にする努力を欠かしません。

引っ込み思案でシャイな性格は今も変わらないが、海外のドクターや患者さんと接する中で気遣いや心配りを学んでいるので、人間としては勉強中ですと笑う表情が印象的でした。

どんなに素晴らしい最先端技術を生かすも殺すも人間次第。

山本匠先生が操る「スーパーマイクロサージャリー」の世界を垣間見てみませんか。

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