綾野剛が産科医&天才ピアニストのドラマ「コウノドリ」。その主人公である「サクラ先生」のモデルになった医師は、りんくう総合医療センターの荻田和秀先生です。
荻田先生はドラマ「コウノドリ」の原作者「鈴ノ木ユウ」さんの奥様の出産を担当されたことでご縁ができたんだとか。
今回は、荻田和秀先生のドキュメンタリー「命の医療チーム、母子の伴走者~産婦人科医 荻田和秀~」をご紹介しながら命のときめきに触れてみたいと思います。
まさに「お産は奇跡」であることを実感する感動のドラマですよ。
プロフェッショナル仕事の流儀「命の医療チーム、母子の伴走者~産婦人科医 荻田和秀~」
- 放送日:2016年5月30日
- 出演:荻田和秀、りんくう総合医療センター産科のみなさま
- 語り手:橋本さとし 、貫地谷しほり
- 1992年:香川医科大学(現・香川大学医学部)卒業後、大阪警察病院、大阪府立母子保健総合医療センターなどに勤務
- 2004年:大阪大学大学院医学系研究科を修了(医学博士)、大阪大学医学部産婦人科助手
- 2011年:大阪府泉佐野市立泉佐野病院(現・りんくう総合医療センター)の産婦人科部長兼泉州広域母子医療センター長
- 現在:りんくう総合医療センター診療局次長兼産婦人科部長兼周産期センター産科医療センター長兼医療安全管理副室長
ドキュメンタリーの内容と見どころ
医師としての転機
お父様も産婦人科医という環境で、産婦人科というのは「毎日おめでとうが聞ける科」だと思い迷わず産科を選択。
自分の力が結果として妊婦を助け、赤ん坊の命を助けているという自負があり、適切な処置をすれば赤ん坊が生まれてくるのは必然だという奢りがあったという。
医師になって5年目。妊婦が高血圧になるのはめずらしいことではないため静観していたところ、数日後急変。高血圧による脳出血を発症し別の病院に搬送された。
幸い、お母さんの命は助かったものの胎児は死亡。「安全で当たり前」と思われていた分娩がこんなに脆いものかと思った瞬間だったと語る。
荻田医師はそこで一つの哲学が出来たという。それは「お産は奇跡」であるということ。
決断を迫られた出産
一週間後に予定日を控えた妊婦が救急搬送された。左手が麻痺し頭痛もあるという。
MRIの結果は「脳梗塞」。とり急ぎ血液をサラサラにする「ヘパリン」を点滴投与し様子を見る。
翌日、意識がもうろう状態。検査の結果、昨日に比べ急激に血管の詰まりが見られ後遺症も残る可能性があった。
選択肢は2つ。脳梗塞が安定してからの普通分娩か今すぐ胎児を取り出すか。しかし、手術をすれば薬の影響で大量出血する可能性もある。
とはいえこのまま脳の症状が進めば母子ともに命が危ない。
荻田医師の下した判断は「帝王切開」。オペ室には脳外科医も待機させるなど、まさに一分一秒を争う手術となったが無事女の子が誕生。
荻田医師はいつも以上に念入りに、何度も何度も出血箇所がないか確認してから縫合に入った…。
死戦期帝王切開
「死戦期帝王切開」。耳慣れない言葉ですが、母体が何らかの事情で心肺停止になったときは、通常どおり心臓マッサージなどの蘇生措置が行われますが、妊娠20週をすぎている妊婦の場合は、子宮が大動静脈を圧迫しているため十分な蘇生効果が得られません。
よって、帝王切開術によりすみやかに胎児を取り出し、圧迫を解除してやる必要があるのです。
それまで日本に6例発生したうちの一例(25才、38週、心筋梗塞)を荻田医師が執刀。
荻田医師はその経験を活かし、産科の医師や救命医などを集めて「蘇生しながら出産させる」という合同訓練を行っているそうです。
「突き放し、見守る」
荻田先生は後身の育成にも力を入れています。
33週で破水した妊婦を産科2年目の女性医師が担当。出血も多く画像では子宮内に血腫も見られた。
当初は早産を疑っていたが出血の多さから「胎盤早期剥離」の可能性も高い。幸い、胎児は2000グラムを超えていたため、仮に「胎盤早期剥離」であれば至急赤ちゃんを取り出したほうがいいと考えていた。
ところが4時間後、出血が止まり赤ちゃんの心拍も安定。であればもう少しお母さんのお腹の中で育て、自然分娩にもっていくべきかと悩む。
女性医師は荻田先生に相談。荻田先生は「自分の最初の診断を信じろ」と突き放すも、実は影からずっと見守っていた。
最終的に女性医師が下した決断は帝王切開。赤ちゃんを取り出し空っぽになった子宮には大きな血の塊があった。
出血が止まったように見えたのは一時的なもので、この塊が破れていたら・・・。
「命の医療チーム、母子の伴走者~産婦人科医 荻田和秀~」の視聴方法
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最後に/荻田先生は本物のジャズピアニスト!
「お産は奇跡」。
ドラマ「コウノドリ」でも何度も登場する言葉ですが、実際の命の現場を目の当たりにすると、「いくつもの良い偶然が重なって命が誕生する」ことを痛感すると同時に、我が子にも「生まれてきてくれてありがとう」と思わずにはいられません。
さて、最後にサクラ先生、いや荻田先生のピアノ演奏をどうぞお聞きください。