チーム・バチスタシリーズの第4作目にあたる「チーム・バチスタ4螺鈿迷宮」。相変わらずの白鳥・田口の迷コンビもさることながら、「終末期医療」「看取り」という重たいテーマを扱った、バチスタの中でも特に見ごたえのあるシリーズです。
また、他のバチスタシリーズに出演している東城医大のなつかしい顔ぶれも登場し、その豪華メンバーに思わず興奮!
今回は、「チーム・バチスタ4螺鈿迷宮」のあらすじやキャストなどを振り返りながら、日本の終末期医療についても考えてみたいと思います。
チーム・バチスタ4螺鈿迷宮
放送日 | 2014年1月7日 – 3月18日 火曜22:00 – 22:54 全11話 |
原作 | 海堂尊 『螺鈿迷宮』 |
脚本 | 後藤法子 |
演出 | 今井和久 白木啓一郎 植田尚 |
プロデューサー | 豊福陽子 遠田孝一 八巻薫 |
制作 | 関西テレビ放送 メディアミックス・ジャパン(MMJ) |
医療監修・医療指導・ロケ地
医療監修 | 林 和彦(東京女子医科大学 化学療法・緩和ケア科) 原田知幸(東京女子医科大学 救命救急センター) |
医療指導 | 川上和之(東京女子医科大学 緩和ケア科) 兼村俊範(東京女子医科大学 緩和ケア科) 康 美理(東京女子医科大学 救命救急センター) |
看護指導 | 石田喜代美 |
ロケ地 | 久里浜医療センター 千葉県がんセンター 横浜市立大学附属病院 |
主題歌
東方神起 / Hide & Seek
キャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
田口 公平 | 伊藤淳史 | 東城医大から派遣された心療内科医 |
白鳥 圭輔 | 仲村トオル | 厚生労働省 医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長兼終末期医療多面展開施策室 |
桜宮 巌雄 | 柳葉敏郎 | 碧翠院院長。専門は外科。警察医業務も兼務している |
桜宮 華緒 | 相築あきこ | 巌雄の妻で精神科医 碧翠院の患者に螺鈿細工を教えている |
桜宮 小百合 | 水野美紀 | 巌雄の長女 副院長兼緩和ケア医 |
桜宮 すみれ | 栗山千明 | 桜宮家の次女 産婦人科医兼すみれエンタープライズ経営者 |
桜宮 葵 | 山﨑賢人 | 桜宮家の末っ子長男 医者志望 |
天馬 大吉 | 上遠野太洸 | 碧翠院のアルバイト職員 東城医大の医学生で現在は休学中 葵と同級生 |
戸山 久司 | 渡部豪太 | 碧翠院の放射線技師 |
日向 千花 | 辻本瑞貴 | 碧翠院の看護師 |
赤城 美智 | 左時枝 | 碧翠院の患者 病名:甲状腺がん |
川原 うめ | 丘みつ子 | 碧翠院の患者 病名:癌性リンパ管症 |
青山 加代 | 大森暁美 | 碧翠院の患者 病名:乳がん全身骨転移 |
木島 トク | 佐々木すみ江 | 碧翠院の患者 病名:子宮がん |
立花 善次 | 宅間孝行 | 長野中央総合病院放射線科医 かつては碧翠院で働いていた |
小幡 剣 | 池内万作 | 県警刑事 碧翠院に司法解剖を依頼している |
特別キャスト
「チーム・バチスタ4螺鈿迷宮」には東城医大のなつかしい顔ぶれが登場します。
速水晃一(西島秀俊)
第1話の水産工場爆発事故現場にドクターヘリで駆けつけたのが速水先生。人呼んで「血まみれ将軍」。
バチスタのBGMと共にあらわれたジェネラル。一気にテンションがあがりましたよ!
速水先生は『チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋』で病に倒れ、北の病院に転院していましたが、回復して東城医大に戻っていたのです。おかえり~♥
島津吾郎(安田顕)
東城医大放射線科准教授。今回、白鳥から直接依頼されて数々の画像診断を行っています。
安楽死の証拠となった画像も、「デュアルエナジーCT」を使って見事からくりを究明します。
前作と比べると性格が穏やかになった印象?
藤原真琴(名取裕子)
東城医大特別愁訴外来看護師。看護師としては超ベテランで、その落ち着きある雰囲気からも田口が頼りにしている一人です。
今回も、田口からの相談に快く応じアドバイスしています。
高階権太(林隆三)
東城医大院長。田口を碧翠院に異動させたのは、ひょっとすると碧翠院の良からぬ噂を聞きつけた院長が、事実を解明するために田口を送り込んだのかもしれません。
前作の『チーム・バチスタ2ジェネラル・ルージュの凱旋』で速水を北の地方病院に異動させたのも、そこには速水が患っている「悪性リンパ腫」の名医がいるから。
なかなかニクいことをする院長ですね。
あらすじ
第一話 消えた医師
東城医大心療内科医の田口公平(伊藤淳史)は、病院長の高階権太(林隆三)の命令で地方の総合病院「碧翠院」へ赴任。
碧翠院は、回復の見込みがない患者に対し積極的な延命治療を行わない、いわゆる「緩和ケア」として終末期医療に取り組む傍ら、院長の桜宮巌雄(柳葉敏郎)は警察絡みの解剖医も兼務しており、誰もが口々に良い病院だという。
碧翠院には院長の巌雄(柳葉敏郎)、妻の華緒(相築あきこ)、長女の小百合(水野美紀)、次女のすみれ(栗山千明)が住んでおり、弟の葵(山﨑賢人)は8年前に事故で死亡したらしい。
そんな碧翠院に着任早々田口が目にしたのは、皮膚科医を名乗る白鳥(仲村トオル)の姿だった。
白鳥は差出人不明で送られてきた「たすけて!碧翠院は一度入ったら出られない病院です」という怪文書を究明するために身分を隠して潜入していたのだった。
第2話 一族の過去
田口は、この碧翠院に死が迫った患者のみ入れる特別な病室があることを知る。
ひょっとしてそこに行方不明になっている医師、立花(宅間孝行)が隠されているのではないかと疑った白鳥は、小百合(水野美紀)に無理やり鍵を開けさせる。
その部屋は美しい「螺鈿細工」で囲まれ、真ん中にベッドが置かれているだけの幻想的な部屋。そこには黙々と螺鈿細工を作る小百合の母、華緖(相築あきこ)の姿もあった。
その時、白鳥に一通のメールが届く。
差出人は「タチバナ」。誰かが失踪中の立花医師になりすまして送られたもので、メールには太腿と手のCT画像が添付されていた。東城医大放射線科の島津(安田顕)に見てもらうと、画像はおそらく死後に撮影されたもので、男性の可能性が高いという。
白鳥と田口は碧翠院に隣接する桜宮家に招待される。テーブルには一つ空席があり、その席は8年前に事故で亡くなった長男、葵(山﨑賢人)の場所で今でも大切にあけてあるのだというが・・・。
第3話 画像から見えた真実
白鳥に「タチバナ」から再びCT画像付きのメールが来た。東城医大の島津(安田顕)に見せると、おそらく素人が撮影したものだろうと判明。
そんな矢先、碧翠院にすい臓がんを宣告された25才の女性教師、菊池日菜(南沢奈央)が転院してきた。死を宣告され自暴自棄になった日菜は、治療や食事など一切拒否。痛みを取り除く以外何もしてほしくないと言う。
その頃、白鳥に3通目のメールが届く。1通目から3通目のメールに添付されていた画像をつなぎ合わせると、その画像は行方不明になっている立花医師(宅間孝行)のものであることが判明。
白鳥の読みどおり、立花医師は殺されていたのだ。
第4話 狙われた白鳥
白鳥は、立花(宅間孝行)が碧翠院の誰かに殺されたと確信していたが、遺体が見つからない以上警察は動かない。
碧翠院で立花の目撃者探しを始めた白鳥は、放射線技師の戸山(渡部豪太)にも揺さぶりをかける。
その頃、入院患者のうめ(丘みつ子)のたっての希望で生前葬をやることに。あまり乗り気でない田口をよそに、巌雄(柳葉敏郎)は「死は特別なことではないと教えるのも医者の仕事」だと言う。
数日後、白鳥は戸山に呼び出される。戸山のもとにも「タチバナ」からメールが来たというのだ。
第5話 暴かれた解剖のミス
白鳥は、CT室で戸山からもらった画像について、すみれ(栗山千明)を問い詰めていたが、背後から何者かに襲われて意識を失う。白鳥は記憶喪失のフリをして、自分を殴った犯人探しを始める。
そんな中、すみれが患者の美智(左時枝)に出した薬の量を間違えて容体が急変。
白鳥はすみれが処方ミスと見せかけて美智を殺害するつもりだったのではと追求するが、心療内科医の田口は、東城医大の藤原看護師(名取裕子)の言葉が気になっていた。
『看取りの医療はいのちを救えませんから。ありがとうって喜んで頂けることの少ない分、達成感も少ない。燃え尽きてしまうスタッフも少なくないんですよ…』
すみれは間違いなく「燃え尽き症候群」にかかっていたのだ。
第6話 目撃者、消される
巌雄(柳葉敏郎)に立花殺害をきっぱり否定されてしまった白鳥は、桜宮一族と立花の関係を調べ始める。
その頃、病棟では末期がんでヤケになっている患者の神岡(神保悟志)が暴れ、止めようとした小百合(水野美紀)がその場に倒れ込んで震えている。
小百合には、昔レイプされたという過去がありトラウマになっていたのだ。
それを知った白鳥はあることに気づく。小百合がレイプされたのも葵(山﨑賢人)が死んだのも偶然8年前だったのだ。
その頃、放射線技師の戸山(渡部豪太)が忘れ物を取りにCT室に行くと、何者かがCT画像を眺めていた。
その人物の顔を見た戸山は慌てて飛び出し田口たちに伝える決心をする。
第7話 迷宮に隠された死者
放射線技師の戸山(渡部豪太)が遺体で発見された。巌雄は解剖を申し出たが、白鳥は利害関係のない東城医大に解剖を依頼。
白鳥は田口や刑事の小幡(池内万作)らと捜査を始めるが、巌雄に借りがある警察はなかなか動こうとしない。
そんな中、戸山が殺害された夜に、すみれ(栗山千明)と天馬(上遠野太洸)が病院を抜け出していたことが判明。再びどこかに赴く二人を尾行する白鳥するも途中で見失ってしまう。
白鳥はあるコテージを見つける。そこには少し前まで飲んでいたであろうティーカップが「3つ」残されていた。
第8話 殺人犯は死者!?
白鳥は、すみれ(栗山千明)と天馬(上遠野太洸)が誰かと密会していたであろうコテージからカップを持ち帰って刑事の小幡(池内万作)に調査を依頼。
そのカップについていた指紋は、あろうことか8年前に起きた連続レイプ事件の犯人が死亡した場所で採取された指紋と同じだったのだ。
小幡の話によると、レイプ魔の遺体発見時は殺人事件かと思われたが、検死を担当した巌雄が「病死」と判断したためそれ以上追求しなかったというのだ。
これは誰の指紋なのか。
白鳥は巌雄が誰かを庇っていると思いはじめていた。巌雄が警察をあざむいてまで庇いたい人間。
それはたった一人、葵。葵は生きていたのだ。
第9話 地下迷宮のトリック
葵(山﨑賢人)は事故の後遺症で脳にダメージを受け、発作のたびに暴れるので華緖が螺鈿の部屋に閉じ込めていたのだった。
碧翠院にはもう一つ不思議なことがあった。うめ(丘みつ子)にしろトク(佐々木すみ江)にしても、末期のがん患者としては死に方があまりにも理想的すぎることだ。
白鳥は碧翠院で「安楽死」が行われているというが田口は信じられない。田口は巌雄のルーツを探しに、元同僚だったという藤原看護師(名取裕子)のもとを尋ねる。
さらには、巌雄のかつての上司にあたる加賀(山本圭)にも話を聞いたが、加賀も末期のがんで、自分も碧翠院に入りたいという。
その頃、葵(山﨑賢人)は母の華緒(相築あきこ)と姿を消した。
二人の行方を負う白鳥が病院の地下通路をくまなく探すと海岸に直接つながる道を発見。そこには車椅子の車輪の跡とボタンが一つ落ちていた。
第10話 真犯人の告白
加賀(山本圭)が「螺鈿の部屋」に入った。田口は白鳥に命じられ息を引き取るまでの一部始終を見ていたが怪しいことは何一つなかった。
それでも納得のいかない白鳥は東城医大から島津(安田顕)を呼び遺体を調べようとするが、目の前で安らかな最期を看取った田口は、そんな白鳥の強引さについていけない。
その頃、巌雄の携帯に妻の華緒(相築あきこ)からの着信が。ただし掛けてきたのは葵だった。華緒に重傷を負わせてしまったというのだ。
すみれと小百合は密かに母の治療にあたっていたが、その様子を田口に目撃される。
ついに葵と向き合う白鳥と田口。葵はなぜ死んだことになっていたのか。
最終回 その医療は、正義か罪か
長野の放射線科医、立花(宅間孝行)と戸山(渡部豪太)を殺害した犯人が判明したものの、田口たちは「安らかすぎる死」がどうしても理解できなかった。
かと言って怪しいところは見当たらなかったが、「デュアルエナジーCT」という最新技術により、ついにそのからくりが明らかになる。
証拠を突きつけようと巌雄を探すが、その頃「螺鈿の部屋」では美智(左時枝)が、まさに最期の時を迎えようとしていた。
「螺鈿の部屋」で安楽死が行われていたのは紛れもない事実だった。
巌雄はこの日が来るのを覚悟し、その時が来たら妻と一緒に潔くこの世を去ろうと決めていた。「螺鈿の部屋」もろとも跡形もなく燃やして・・・。
その時「僕も連れてって」と。
チーム・バチスタ4螺鈿迷宮はどこで見られる?
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「医療ドラマまにあ」としての感想
すっかり定着した白鳥とグッチーの名コンビ。「相棒」の右京さんと相方みたいな関係ですね。
とはいえ、この作品は二人の軽快な謎解きだけではなく、日本の高齢化社会における「終末期医療」のあり方を私たちに投げかけました。
最近は緩和ケア病棟も増え、痛みのコントロールをしながら最期まで命を全うできるような施設も増えていますが、誰もがそこで手厚い看護を受けられるとは限りません。
それでなくても今は、国が国民に副業を奨励して「自分の老後は自分でなんとかしなさいよ」という時代です。
「自分でなんとか出来ない人」はどうすればいいのでしょうか。
エンディングで白鳥が記者に「安楽死は殺人ですよね?」と詰め寄られるシーンで発した言葉が、全てを物語っているように思います。
みなさんは尊厳死と安楽死の違いは何かご存じですか。
これからいよいよ団塊の世代の3人に1人が65歳以上の超高齢社会がやってくる。今のような医者まかせの終末期医療はもう限界だ。
他人事じゃないですよ。あなたの問題なんです。
でもこれは碧翠院という病院だけの問題ではない。日本人は死を忌み嫌うべき問題として避けてしまう。
でもこれからは、一人ひとりがどういう人生の最期を迎えたいか、考えなければならない時代が来たんですよ。
さらには少ない若者で多くの高齢者の幸せをどう支えるのか、医療行政・社会問題をどう取り組むべきなのか、それを真剣に考えないと安楽死を望む人やそれを幇助する人がまたどこかで生み出されてしまう。
僕はそう思います。
白鳥が珍しく真剣な面持ちで語った言葉です。
生かすのも医師の仕事なら延命しないのも医師の仕事。碧翠院の巌雄先生のやり方は間違っていたのかもしれないけど、私はこの人を嫌いにはなれません。
是非、作品をご覧になって自分の事として考えてみてはいかがでしょうか。