女優の北川景子さんは、精神科医であった祖父の影響で医者を目指していたと言われています。
そんな北川さんが研修医として主演を努めたのが、法医学を通して医師のあり方を問うたドラマ「ヒポクラテスの誓い」。
「ヒポクラテスの誓い」は実際の医学界に存在する、「医師の倫理・任務などについて書かれた宣誓文」で、元々は医学の父と称されるヒポクラテスの教えだと言われていますが、日本でも多くの医学部に設置され現代に語り継がれています。
このドラマは、その「誓い」に対して真摯に向き合う研修医が、遺体の解剖を通して真実を明らかにしていく法医学ミステリーです。
早速、遺体の声を聞きに行きましょう…
連続ドラマ「ヒポクラテスの誓い」
放送日 | 2016年10月2日~30日 日曜夜10時~ |
原作 | 中山七里 『ヒポクラテスの誓い』 |
脚本 | 篠崎絵里子 |
監督 | 内片輝 |
音楽 | フジモトヨシタカ、戸田有里子 |
法医学監修 | 上村公一 |
制作 | WOWOW |
「ヒポクラテスの誓い」原文(和訳)
日本のお医者様たちは「医師の倫理の基本」として一度はこの文章を目にするのだとか。ドラマでも北川景子さんが要所要所でつぶやいています。
医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。
私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
- この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
- 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
- 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
- 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
- 依頼されても人を殺す薬を与えない。
- 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
- 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
- どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
- 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
キャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
栂野真琴 | 北川景子 | 浦和医大の研修医。内科の教授である津久場に「法医学教室」での研修を勧められる |
光崎藤次郎 | 柴田恭兵 | 浦和医大法医学教室の教授。常に偏屈で不躾な態度だが、そのメスさばきは目を見張るほど |
古手川和也 | 尾上松也 | 捜査一課の刑事。上司の命令に背いても信念を貫く強さがある |
津久場公人 | 古谷一行 | 浦和医大の内科の教授 |
樫山輝 | 濱田マリ | 浦和医大法医学教室の准教授で、光崎のことは何でも知っている |
坂元義彦 | 金田明夫 | 浦和医大の事務長。病院を守るためには手段を選ばない |
柏木裕子 | 佐藤めぐみ | 真琴の親友 |
あらすじ
◆第一話
研修医の栂野真琴(北川景子)は、内科教授・津久場公人(古谷一行)の勧めで法医学教授・光崎藤次郎(柴田恭兵)の下で法医学の研修を受けることになった。
そこへ、ある少女から「父親が起こした自動車事故で亡くなった女性を解剖してほしい」との依頼が入る。その少女は父の無実を証明したかったのだ。
真琴は、被害者遺族に解剖の許可をもらいに行くが拒否されてしまう。しかし、教授の光崎は遺族感情を無視するかのように解剖を強行してしまう。
◆第二話
真琴は光崎の強引なやり方に不信感を持っていた。
そんな中、ボートレース中に選手が死亡する事故が発生。操縦ミスによる事故死と処理されたが、選手の妻は「事故を起こすはずがない」と警察に訴えていた。
刑事の古手川(尾上松也)が持ち込んだ映像では事故に見えるが、光崎はその検案書に疑問を持つ。
一方、津久場(古谷一行)は中央監察医務院が検案した遺体の解剖は問題になると、暴走する光崎を止めようとするのだが・・・。
◆第三話
真琴の親友・柏木裕子(佐藤めぐみ)が緊急搬送される。彼女のそばにいながら、裕子の症状に気付かなかった自分を責め、裕子を救おうと必死に処置する真琴。
一方、光崎は裕子の症状に不審な点を見つけ、ある男に患者のリストを要求する。彼が強引な解剖を続けるのはなぜか。集められたデータの中にどんな真実が眠っているのか。
その真相に真琴は少しづつ近づいていくのだった。
◆第四話
光崎が解剖した3人の遺体は全員浦和医大の元患者で、主治医は梶原英雄(相島一之)という共通点があった。刑事の古手川は、梶原の医療ミスを疑っていた。
真琴は直接、梶原に問い詰めるが、梶原は妙な言い掛かりはよせと立ち去ってしまう。
疑いを掛けられた梶原は津久場と医学部長・坂元義彦(金田明夫)のもとへ泣きつくも、坂元は光崎を排除しようと画策する。
見え隠れする浦和医大の闇に真琴と光崎が迫ろうとしていた。
◆最終話
セチルミンの誤投与が発覚した直後、梶原が自殺して真相が闇に葬られてしまう。
その最中、真琴は入院患者の少女に血栓が疑われる同じ症状を発見する。しかし、その患者の主治医は梶原でなく真琴が尊敬する津久場。
津久場もまた誤投与していたのか、医療ミスを隠しているのか。ショックを隠し切れない真琴だったが、少女の死は刻一刻と迫っていた。
真琴は津久場を追求するが津久場は決して誤投与を認めない。このままでは少女の命はない。果たして真琴と光崎は少女を救えるのか。
口コミ
「医療ドラマまにあ」としての感想
この主人公は「ヒポクラテスの誓い」をそらで言えるほど、医師という仕事に対し真摯に取り組んでおり、初期研修が一通り終わったら「内科医」として多くの命を救いたいと考えていました。
そんな彼女にとって「亡くなった人を解剖する」というのは医療行為ではないばかりか、教授の強引なやり方に嫌悪感さえ感じていた。
そんな彼女の心を揺れ動かしたのは、光崎教授の「生きてる人間は嘘を吐くが、死体は真実しか語らん」という一言。私もこの言葉を聞いたとき、いろいろな医療ドラマの名シーンを思い出しました。
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など人間はその生命を終えてもなお何かを伝える使命を残し、真琴先生が内科医になって人を助けたいと思ったように、解剖医もある意味で「人を助ける」仕事だと感じたのです。
さらに、その「真実」がほかの人の人生を助けるきっかけになったり、自分の臓器が他人の命を救ったりと、人間は最後の最後までこの世に生まれてきた役割を果たそうとするのですね。
みなさんもどうぞこの機会に「ヒポクラテスの誓い」という医師の使命に触れてみてください。