医師の働き方改革をテーマに掲げた医療ドラマ「ナイト・ドクター」。
医療監修は「コード・ブルー」や「ラジエーションハウス」等を監修された「日本医科大学千葉北総病院救命救急センター(通称:北総救命)」、原義明(日本医科大学)、新村核(第一会若葉クリニック)の先生方です。
今回は、北総救命のN先生が書かれていた「千葉北総病院スタッフブログ」での裏話をお借りして、ナイト・ドクターのあらすじを振り返ってみたいと思います。
N先生のウイットに富んだコメント、必見ですよ。
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ドラマ「NightDoctor(ナイトドクター)」
放送日 | 2021年6月21日~9月13日 月曜 21:00 – 21:54 |
脚本 | 大北はるか |
演出 | 関野宗紀、澤田鎌作、浅見真史 野田悠介、高橋由妃 |
音楽 | 得田真裕 |
プロデューサー | 野田悠介 |
制作著作 | フジテレビ |
医療監修・法律監修
◆医療監修
北総救命(日本医科大学千葉北総病院救命救急センター)
原義明(日本医科大学)
新村核(第一会若葉クリニック)
◆法律監修
細川裕美(新橋共同法律事務所)
病院のロケ地はどこ?
ナイトドクターの舞台である「あさひ海浜病院」のロケ地はなんと「藤沢市役所」(神奈川県)です。その他、
- 東京農業大学
- みなとみらいグランドセントラルタワー
- 横浜中華街
- 汽車道
- 山下公園
- コクサイエアロマリン山下埠頭倉庫
- ノートルダム横浜
など、横浜のおしゃれな場所がふんだんに使われています。
テーマソングは5曲!
「ナイト・ドクター」はこれまでの「主題歌」という概念をなくし、年齢も性格も価値観も違うバラバラな5人の魅力を最大限引き出すために、ドラマの世界観にマッチした以下の5組の楽曲が各話で流れています。
- yama「Sleepless Night」(MASTERSIX FOUNDATION)
- eill「hikari」(ポニーキャニオン)
- 琴音「君は生きてますか」(Colourful Records/JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)
- Tani Yuuki「Over The Time」(Valley Records)
- 三浦風雅「Start」
キャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
朝倉 美月 (あさくら みつき) | 波瑠 | あさひ海浜病院ナイトドクター。医師6年目。母の死がきっかけで医師を志した |
成瀬 暁人 (なるせ あきと) | 田中圭 | あさひ海浜病院ナイトドクター。医師11年目。もともとは脳外希望だが、あることがきっかけでナイトドクターになった |
深澤 新 (ふかざわ あらた) | 岸優太(King & Prince) | あさひ海浜病院ナイトドクター。医師4年目の元内科医。両親を早くに亡くし持病のある妹の面倒を一人で見ている |
高岡 幸保 (たかおか ゆきほ) | 岡崎紗絵 | あさひ海浜病院ナイトドクター。医師3年目。目標は医師と家庭を両立させることで良い相手に出会うために女子力を保つ努力を怠らない |
桜庭 瞬 (さくらば しゅん) | 北村匠海 | あさひ海浜病院ナイトドクター。医師3年目。明るく人懐っこい性格でムードメーカー的存在。生まれつき心臓が弱く幼少期に心臓移植を受けている |
本郷 亨 (ほんごう とおる) | 沢村一樹 | ナイトドクター指導医。腕は確かだが偏屈で毒舌。ナイトドクターたちを皮肉交じりに指導する |
益田 舞子 (ますだ まいこ) | 野呂佳代 | あさひ海浜病院救命救急センターの看護師。明るい性格でドクターのウケもよく、美月や幸保と一緒に合コンに行くこともある |
新村 風太 (にいむら ふうた) | 櫻井海音 | あさひ海浜病院救命救急センターの新米看護師 |
嘉島 征規 (かしま まさのり) | 梶原善 | 救命救急センター長。ナイトドクターは、日勤で働く有能な医師の負担を減らすためにあると思っている |
桜庭 麗子 (さくらば れいこ) | 真矢みき | あさひ海浜病院の本院・柏桜会の会長。瞬の母親。ナイトドクターの是非については慎重論 |
八雲 徳人 (やぐも のりひと) | 小野武彦 | あさひ海浜病院院長。ナイトドクター制度を立ち上げるために、本郷をニューヨークから無理矢理呼び戻した |
深澤 心美 (ふかざわ ここみ) | 原菜乃華 | 新の妹。血管に炎症が起きる難病をわずらっており入退院を繰り返している |
岡本 勇馬 (おかもと ゆうま) | 宮世琉弥 | 心美の彼氏 |
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あらすじ
第1話 舞台は夜間救急!性格も価値観もバラバラな5人の医師たちの戦いが今始まる!
医師の働き方改革を目指す柏桜会グループは、「あさひ海浜病院」に夜間勤務専門の救命医チーム「ナイト・ドクター」を立ち上げた。
集まったのは、朝倉美月(波瑠)、深澤新(岸優太)、成瀬暁人(田中圭)、桜庭瞬(北村匠海)、高岡幸保(岡崎紗絵)の年齢も経歴もバラバラの5人。
指導医は、ナイトドクター立ち上げのために急遽ニューヨークから呼ばれた本郷亨(沢村一樹)。本郷は自分の指導について来られる者だけが残ればいいという考えだ。
そこにホットラインが鳴る。工事現場で崩落事故が発生し3名の重症者が出たのだ。
救命経験のある成瀬に美月と幸保がサポートするが、救命の経験がない深澤と桜庭はオロオロするばかりで使い物にならない。
搬送された患者の一人は足の損傷が酷くクラッシュ症候群を起こしていたため、本郷は美月に切断を指示するが…。
毎回鳴り響くホットライン、病院によって色々な音に設定されていますが、救急に関わる人たちはこのホットラインの音を(必要以上に)よく覚えています。
耳というよりも体が(笑)。かなり遠くで鳴っていても、他に話し声がしていても、なぜか聞こえてきます。
カクテルパーティー効果、というものが知られていますが、ホットラインパーティー効果というのも存在するんじゃないかと思っています。誰か調べてください(笑)
第2話 夜に訪れるコンビニ受診患者の真実!?
朝倉美月(波瑠)には佐野大輔(戸塚純貴)という恋人がいるが、ナイトドクターになってからすれ違いが多い。
ある日、美月は大輔の浮気現場を目撃してしまい落ち込んでいた。その日の仕事は、夜間の救命救急センターに自力で受信する患者、いわゆる「ウォークイン」患者を診察すること。
美月が最初に診察した患者はなんと美月の父、哲郎(佐戸井けん太)だった。美月は「ここは軽症者が気軽に来る病院じゃない!」と激怒。
その声は隣の診察室にも響き、1歳の赤ん坊を連れてきていた鮎川希実(谷村美月)は、子供の便が普通ではないことに気づきながらも、遠慮してそそくさと帰ってしまう。
しかし再度子供が発熱したと来院。新(岸優太)は、赤ん坊の顔色が何となく黄色いと思ったものの美月の診断は「カゼ」。
希実は安心して再び帰宅したが夜になって容態が急変、詳しく診察してみると・・・。
車いすでも、誰かにおんぶされてやってきても「ウォークイン」です。(中略)
ここで大事なのは、ウォークイン患者は軽症なのではなく、あくまで最初は軽症に見える患者、だということです。救急では、歩いて診察室に入ってきた患者が診察中に心肺停止になる場面にも遭遇します。
重症の場合は検査が多少多くても容認される場合もありますが、軽症の場合は検査をどうするかで悩むことも多いです。
100人に1人、もしかしたらもっと少ない重症患者を見つけ出す難しさがウォークイン診療にはあります。
しかも大体そういう重症患者さんは、眠い時、ばたばたしているときにそーっと紛れているんです。
第3話 無保険患者が抱える不公平な現実とは?
美月(波瑠)が入院患者の斎藤篤男(赤ペン瀧川)に襲われる。桜庭瞬(北村匠海)は美月をかばい刃物で傷つけられるが幸い軽症で済んだ。
その話を聞きつけた『柏桜会』会長で桜庭の母親でもある麗子(真矢ミキ)は、息子の身を案じて桜庭にイギリスに留学するように勧める。
その話を聞いていた指導医の本郷(沢村一樹)にも、救急医の初歩的な処置も満足に出来ないならその方が良いと言われる始末。
そんな時、急患が運び込まれたが処置もむなしく死亡。無保険なので治療を受けずに我慢していたのだろうと思われた。
次の日、桜庭が出勤すると、次週の勤務シフト表から自分の名前が消えていた。本郷は麗子の指示だと言うが・・・。
医療だけじゃ救えない命、確かにたくさんあると思います。医者だけでは救えない命はもっともっとたくさんあります。
他の医療スタッフがいればその数は減りますが、人的資源だけではどうしようもなりません。さらに治療に必要な検査、機械、薬剤、設備などなどが揃って僕らの医療は成り立っています。
それらを決めているのは制度だったり、環境だったりします。どれが欠けた時に診療ができないか、と考えていくととんでもない確率で自分たちの医療が出来上がっていることを思い知らされます。
第4話 女の戦い勃発!? 壊れゆく2人の関係!
レストランの2階から転落し頭部を強打した花園詩織(松井愛莉)。救急隊員の話によると状態は「JCS 200」レベルだという。
一緒に恋人らしき男性が付き添ってきたが、その男性はなんと幸保(岡崎紗絵)の恋人、青山北斗(竹財輝之助)だった。
北斗は、店の宣伝のためにインフルエンサーである詩織を利用しただけで深い仲ではないと言うが、幸保は納得できない。
目を覚ました詩織は北斗にベッタリ。わがまま放題で北斗に甘える詩織に幸保のイライラは募り、とうとう爆発。
仕事に支障をきたすと考えた幸保は本郷に早退を申し出たが、帰ろうとする幸保をとがめた美月と言い合いになってしまう。
そんな時、ホットラインが鳴る。3名のガス中毒患者受け入れを本郷が承諾するも、桜庭も休みで幸保もいないと動揺する深澤。
本郷はお前たちでカバーしろと言うのだが・・・。
「JCS 200」というのは痛み刺激をしても少し動く程度で意識障害の重症度としては超重症です。
これが頭部外傷によるものだとすれば頭蓋内出血している可能性が高く、やばいぞ!というスイッチが入り意識以外の問題がなければすぐに頭部CTを撮影したい状況です。
外傷はじめ緊急性の高い疾患では、少しの時間も惜しいので、通常はいわゆる検査のオーダーや輸血の準備は患者さんが病院に着く前に行います。
第5話 明かされる成瀬が抱える過去の秘密!
朝倉美月(波瑠)は、成瀬暁人(田中圭)が訴えられている事を知ったが、成瀬はそのことについて一切口を開こうとしない。それどころか成瀬の態度は以前にも増して美月に冷たくなり、少しでも美月がもたついていると成瀬がさっさと仕事を奪ってしまう。
本郷(沢村一樹)は後輩を育てるつもりは無いのかと成瀬に聞くが、自分が処置した方が確実だと言って譲らない。
このままでは救急医としての腕を磨けないと焦る美月。
そんな時、会社員をしながら夜はキャバクラで働いているという患者の話を聞いた美月は、昼間の非常勤救急医の応募病院を調べ始めた。
そこへ越川法子(紺野まひる)に付き添われた子供、日向(正垣湊都)が運び込まれる。美月と幸保(岡崎紗絵)が処置に迷っていると、またもや成瀬に奪われてしまう。
幸い日向は一命を取り留めたが、法子を安心させようと「絶対に助ける」と言った深澤にも、成瀬は患者や家族の前で二度とその言葉を口にするなと手厳しい。
美月は成瀬の態度が気になり、院長(小野武彦)に成瀬の訴訟について尋ねると、成瀬が手術を担当した子供の母親に訴えられているのだという。
一方、日向の疾患原因はなかなか判明しない。本郷は法子が記入した日向の問診票に疑問を持ち、詳しく話を聞くように美月と成瀬に指示したのだが・・・。
医療現場で「絶対」と口にすることは、帰宅して豪華な食卓を前に「もう食べてきたからいらない」と言うことに匹敵する危険度?と認識しております。要は後々問題になりかねないということです。(中略)
例えば夜間の救急外来で、何か不安なことがあって来院され、特に検査もせずに帰宅となることがあります。その時少しでも不安が解消されるなら、それは高価な薬を投与した時と同じくらい良い医療かもしれません。
そういった意味で、深澤先生の言ったことはよくわかります。救急で日が浅い深澤先生だからこそ患者さん側に寄り添おうとして言えたことなのかもしれません。
第6話 いよいよ後半戦突入!! 災害現場で起きた事故の真相とは!?
工事現場で複数の傷病者が発生し、ドクターカーの出動要請が入る。本郷(沢村一樹)は美月(波瑠)、成瀬(田中圭)、深澤(岸優太)を現場に向かわせる。
治療の自信がなく美月に頼りっぱなしの深澤。美月は作業員を助けるため資材の山を登るが、立ちくらみを起こして落下してしまう。
美月はしばらく意識を失っていたが、深澤の呼びかけに反応して作業員の処置を再開。しかし、全ての傷病者の処置を終えた頃、再び意識を失う。
成瀬の診断では、多発肋骨骨折および血気胸の疑いによるショックと判断。
深澤は美月に傷病者の処置を任せきりにしたことに責任を感じ、本郷も自分の監督責任だとして、桜庭麗子(真矢ミキ)と八雲徳人(小野武彦)に詫びる。
美月の体に何が起きているのか。
皆様、医療用語のショック、って日常会話で使う「ショック」と違うのはご存じでしょうか。
医療用語のショック、とはカッコつけていうと循環動態が破綻している、ざっくり言うと血圧が下がって(下がりそうで)ヤバい、という状態のことです。マジでショックだわー、のショックとは違うのです。
事故現場で診断のために使える器具は聴診器とエコー(超音波)くらいのこともあります。その際に、視診・聴診・触診といった基本的なことが威力を発揮しますが、中でも触診から得られる情報は多いです。
成瀬先生はきっと、朝倉先生を視て胸部がメインの外傷と判断し、呼吸音を聴いて明らかな異常はなかったものの、肋骨骨折を触って骨折あり、手首の動脈を触ってショックの可能性があると素早く判断したのではないでしょうか。
第7話 覆せないレッテル!? すれ違う価値観!
美月(波瑠)は幸保(岡崎紗絵)から合コンに誘われるが興味ないと断る。
一方、成瀬(田中圭)は医大の後輩で脳外科医の里中悟(古舘佑太郎)と病院内で出会い、ナイト・ドクターとして勤務していることを告げる。
その夜、18件もの病院に受け入れを断られた患者が運び込まれる。搬送した救命士の星崎比呂(泉澤祐希)はホッとした様子だが、美月は患者の顔を見てその理由を悟った。
その患者は、かつて美月が通りがかりに助けたホームレス(神尾佑)だったからだ。
美月は帰ろうとする星崎を呼び止め、処置した履歴が残っていたら身元確認になるかもしれないので調べて欲しいと頼む。
次に搬送されたのは風見まどか(藤嶋花音)。付き添いの父、信行(林泰文)は、経験豊富な昼間の医師に治療してほしいと譲らない。
ショックを受ける5人に対し本郷(沢村一樹)は、これがナイト・ドクターの現実だと突きつける。
そんな時、昼間の合コン相手の赤松が原因不明の発熱で外来にやって来た。
18件の不応需、ホントかよ、と思うような数ですが(現在コロナ禍で不応需件数が増加しているのは一旦置いておいて、普段でも)ありえない話ではありません。
通常、救急車を受け入れる際には、救急対応している医師が診察可能かはもちろん、救急外来での治療終了後にメインとなるであろう科(例えば脳出血なら脳外科、心筋梗塞なら循環器内科、など)が対応可能か、看護師をはじめとした救急外来のスタッフが対応可能か、救急外来のベッドが空いているか、入院する場合のベッドが空いているか、重症例では手術室・麻酔科が対応可能か、などの様々な関門を突破する必要があります。
第8話 成瀬が下す衝撃の決断! オペを中止!?
美月(波瑠)は成瀬(田中圭)が里中(古舘佑太郎)から脳外科に移るよう誘われている姿を見てしまうが本人は決めかねている様子。
そのことを幸保(岡崎紗絵)と深澤(岸優太)に話すと、幸保はナイト・ドクター存続の危機だと慌てる。
そんな時、くも膜下出血の患者が運び込まれた。成瀬は進んで執刀にあたるが、いざ開頭してみると普通の動脈瘤ではなかったため手術を断念。
手術の様子を見ていた深澤や桜庭(北村匠海)はショックを受ける。そして誰よりも諦めざるを得なかった成瀬の衝撃も大きかった。
成瀬は患者の手術を高梨(益岡徹)に頼みに行く。だが、高梨は留守で、居合わせた里中が執刀することになった。
帰ろうとする成瀬に、本郷は脳外科に行くことを迷っているなら自分は止める気もないし、背中を押す気もないと告げる。
なかなかないですよね、手術を中断するという場面を描くドラマ。
医者として大事なことの一つに(医者に限らないかもしれませんが)、自分の実力を知る、ということがあります。
患者さんのことを考えた時に、どこまで自分ができるのか、できないのか。一般的な青春ストーリーでは、指導者に「できるか?」と問われ、「できるかできないかじゃない、やります!」と主人公が言うこともあると思いますが、医療でそれが起こったら、想像するとすごいですよね。
「できないんだったらやるな!」と真顔で言いたくなりますね。(もちろん状況によっては例外もありますよ)
実際の臨床を見ていても、出来る人ほど、出来ないときは出来ない、と言うイメージがあります。
出来ないとしっかり言える人じゃないと任せられない、と上の先生が言っているの聞いて、納得したことを覚えています。
第9話 衝突する5人! 異なる価値観が交錯する
美月(波瑠)は、深澤(岸優太)と外出許可が出た心美(原菜乃華)、岡本勇馬(宮世琉弥)とキャンプを楽しんだ。
しかし、病院に戻った直後に心美の容態が急変。緊急手術で落ち着いたが楽しみにしていた退院は延期になりそうだ。
数日後、美月たちは、深澤が心美の面倒を見るために休職したことを知る。美月は深澤の看病疲れを心配し仲間たちに心美の見舞いに行くことを提案。
次の日、心美の見舞い行くと何やら二人が揉めていた。心美が臓器提供のドナー登録をするために深澤に同意を求めていたのだ。
心美のドナー登録に大反対の深澤は、美月に心美がドナー登録を諦めるよう説得して欲しいと頼むが、美月は母親がドナーだったことを話して断る。
今まで触れてきませんでしたが、先生たちは皆スマートフォンを持ってますね。病院内でのつながる電話、いわゆるPHS(「ピッチ」と呼ばれることが多いですかね?)というのはこれまでは一昔前の折りたためない携帯電話のようなタイプが多かったですが、最近は病院によってはスマートフォンになっています。
古き良きタイプも、電話しか受け付けんという潔さが私は結構好きだったりもしますが、スマートフォンタイプはそれはそれで勿論便利なところもあります。
ちなみに古き良きタイプは通じる範囲が限られていますが、スマートフォンタイプは通常、日本全国どこにいても繋がります。それはつまり、そういうことですね、笑。
第10話 突如襲う、停電! 朝を迎えられるのか?
その日ホットランで要請された患者は胸部大動脈解離が疑われた。救急隊員の星崎比呂(泉澤祐希)によると、男性は発症から2時間以上経過しているとのこと。
星崎は何とか受け入れて欲しいと訴えるが、本郷(沢村一樹)の判断は「断れ」。
なぜなら現場から病院までの距離を考えると救命は不可能だからだ。本郷の判断はもっともで美月も従わざるを得ない。
次のホットラインは高所から転落した女性。その女性も予断が許さない状態だ。
本郷の判断は「15分以内に運べるなら受けろ」。美月は受け入れを許可したものの女性は搬送時間をかなりオーバーして到着。珍しく救急隊員を怒鳴りつける本郷。
結局、女性の命は救えなかった。
一人は受け入れられず、一人は間に合わず…立て続けに思い知らされた虚しさに、美月は幸保の腕の中で号泣した。
次の夜、美月はシフト通りの休日。深澤たちはいつものように患者を受け入れている。そんな時、雷雨で『あさひ海浜病院』一帯が大規模停電になってしまう。
例え自病院で受け入れ可能でも、病状や患者さんのことを考えた結果断ることもあります。
この際に、救急隊の現在地と所要時間はとても大事です。そのため、ホットラインでは○○救急と常に言っていますね?
慣れた救急医は、救急隊の名前からどのあたりの地域で搬送までどの程度、というところまで把握しています。もちろん、ドクターヘリ、ドクターカーなどの院外活動でもさらにその重要度は増します。
最終話 突然の解散宣言! 5人が出す答えとは
朝倉(波瑠)、成瀬(田中圭)、深澤(岸優太)、高岡(岡崎紗絵)、桜庭(北村匠海)たちは、本郷(沢村一樹)から『あさひ海浜病院』のナイト・ドクターチームの解散を言い渡される。
解散はすでに柏桜会理事会の決定事項だという。
突然の知らせにナイト・ドクターたちは衝撃を受ける。しかし、本郷はこの解散を喜んでいると言うのだ。その真意とは…。
解散が通達された夜も3件の事故が同時に発生。美月は電車の車両基地、深澤はゴミ処理場、幸保は高層オフィスビルの現場に向かう。
成瀬は本郷が自分を出動させなかったことに疑問を持つが、本郷は成瀬に救命センターの指揮を任せたかったのだ。
その頃桜庭は、トイレで倒れている患者を発見。急を要する患者の病状に、桜庭は自ら治療することを決意する。
事故現場で、それぞれに治療の判断を迫られる美月、深澤、幸保。病院のICUでは、桜庭も成瀬や本郷の手を借りずに患者のオペを進めようとしている。
そして、ナイト・ドクターたちそれぞれが現場で治療にあたる医師は自分一人という厳しい夜を過ごす中、目の前にいる重症者に対して大きな決断を迫られようとしていた。
院内で患者さんが倒れた場合には、予め病院ごとに決まったルールに基づいて医療スタッフが招集されます。北総病院の場合には全館放送がかかり、原則としてそれを聞いた(お取込み中でない)すべての医師が駆けつけます。
すごくお取込み中でなければ、今やっていることを中断して走って向かうので、ヌーの大移動みたいになります。実際に見たことがある方はびっくりされるのではないでしょうか。
そして原則階段を使用することが多いので、例えば1階から最上階に向かおうと思ったら、運動不足の私はもう大変です。(中略)
通常、救急系(救急科、集中治療科など)の急変対応に慣れた医師が到着するまでは、早く着いたものがリーダー役を務めます。医者なり立ての頃は、急変対応を学びたいという思いと早めに着いたらどうしようという気持ちでポジショニングは天に任せていました。
「医療ドラマまにあ」としての感想
私がこのドラマで一番心に残ったのは第2話の美月のセリフです。
「普通」は時代や社会によって変わっていくものなのに「普通」に縛られることはない。「普通」は変えられる。
「普通そう考えない?」とか「〇〇するのが普通でしょう!」という言葉は、いわゆる「普通」=「常識」にも置き換えらるので、私はあまり好きではありません。
例えば医師を志す最近の若い世代は、やりがいより「休みが多いか」「夜勤は無いか」で病院を選ぶ人も多いと言うし、医者なんだから自分の生活より患者第一に考えるものでしょ?という「普通」も変わりつつある。
とはいえ、それが悪いわけでもない。つまり私達も「普通」という呪縛から離れなければ「働き方改革」なんて絵に書いた餅だと思うのです。
それにその問題は氷山の一角であって、その根底にあるのは日本の医療費問題、ひいては超高齢社会のしわ寄せが至るところに表れていること。
医療が進歩すればするほど寿命は長くなって生産人口が減る。かと言って少子化問題が片付くわけではないから働ける人間は増えない。となれば高齢者もまだまだ働かなければならない、という構図ですね。
医師の働き方改革は、2024年から本格的にスタートします。起動に乗るまで先生方も大変だろうけど、高齢者に一歩足を突っ込んだ私も「使える高齢者」にならなくちゃね。
そんなことを考えられる「医療ドラマ」ってやっぱり最高だー。
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