吉永小百合さん主演の映画「いのちの停車場」は、日本の在宅医療や終末期医療を通して医師や患者、また患者の家族の姿をリアルに描いた作品です。
出演の松坂桃李&広瀬すずちゃんも、昭和の大スター、吉永小百合さんに引けを取らず作品を大いに盛り上げていました。
今回は、作品のキャストやストーリーを振り返りながら、見どころをたっぷりお届けします。パンツ一丁ではしゃぐ松坂桃李や、井上陽水のモノマネをする広瀬すずなど、ファンにはたまらないシーンもあり!
要チェックですよ!
映画「いのちの停車場」
公開日 | 2021年5月21日 東映 |
原作 | 南杏子『いのちの停車場』(幻冬舎文庫) |
監督 | 成島出 |
助監督 | 谷口正行 |
脚本 | 平松恵美子 |
音楽 | 安川午朗 |
i医療監修
医療監修 | 新田國夫 秋山久尚(製マリアンナ医科大学) 森田達也(聖隷三方原病院) |
医学監修 救命救急医療指導 | 矢口有乃(東京女子医科大学) |
救命救急医療協力 | 前田哲生(金沢大学病院) 森岡研介(平成横浜病院) |
医療アドバイス | 山口重樹(獨協医科大学) 濱口眞輔(獨協医科大学) |
医療スーパーバイザー | 岩本絹子(東京女子医科大学) |
撮影協力・医療協力 | 佐田尚宏(自治医科大学附属病院) |
ロケ協力・医療協力 | 蒲田敏文(金沢大学病院) |
テーマソング
◆特報使用曲「Amazing Grace」
歌:AKINA(FAKY)
◆エンディングテーマ「いのちの停車場」
作詞:小椋佳 / 作曲:村治佳織 / 歌:西田敏行
◆劇中歌「STATION」
作詞・作曲・歌:みなみらんぼう
キャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
白石 咲和子 | 吉永小百合 | 「まほろば診療所」在宅医。かつて大学病院の救命救急医だったが、ある事件の責任をとって退職、故郷に戻り在宅医となる |
野呂 聖二 | 松坂桃李 | 「まほろば診療所」の運転手。以前は咲和子のいた救急外来で事務のアルバイトをしていたが、咲和子を追っかけて金沢にやってきた。医師国家試験を3回落ちている |
星野 麻世 | 広瀬すず | 「まほろば診療所」の訪問看護師。院長と二人三脚で在宅医療に携わっている。亡き姉の子を育てている |
仙川 徹 | 西田敏行 | 「まほろば診療所」の三代目院長 |
柳瀬 尚也 | みなみらんぼう | 仙川行きつけのバー「STATION」のマスター |
※寺田 智恵子 | 小池栄子 | 末期の肺癌を患う芸者で、積極的な治療を拒否している |
※並木 シズ | 松金よね子 | 80才。脳出血の後遺症で寝たきり。胃瘻の処置がされている |
並木 徳三郎 | 泉谷しげる | シズの夫。妻を愛しているが老老介護に疲れ切っている |
※中川 朋子 | 石田ゆり子 | プロの女流囲碁棋士。癌で5年前に手術をしたが再発。肺と腰に転移が見つかり幼馴染の咲和子を頼ってまほろばに来る |
※江ノ原 一誠 | 伊勢谷友介 | 年商300億の社長。トライアスロン中の怪我で脊髄損傷。希望は在宅で最先端治療を受けること |
※宮嶋 一義 | 柳葉敏郎 | 57才。末期の膵臓がん患者。元高級官僚。「医療費をムダに使わない」という考えで在宅医療を選択。長年会えていない息子のことが唯一の気がかり |
宮嶋 友里恵 | 森口瑤子 | 宮嶋一義の妻。末期の膵臓癌である夫を献身的に支えている |
※若林 萌 | 佐々木みゆ | 小児癌で入退院を繰り返している。野呂に懐いている |
若林 祐子 | 南野陽子 | 萌の母親。幼い娘に迫る死を受け入れられず、新薬を使った治療を求める |
白石 達郎 | 田中泯 | 咲和子の父親。妻に先立たれており、咲和子が金沢に帰ってきたことを喜んでいたが、骨折をきっかけにあちこち衰えて慢性的な痛みと戦っている |
ストーリー
大学病院の救命医だった白石咲和子(吉永小百合)は、ある事件の責任をとって退職。実家の金沢に戻り、「まほろば診療所」で在宅医として再出発する決心をする。
「まほろば」には、いつも陽気な人柄で患者たちから慕われている院長の仙川徹(西田敏行)と、亡くなった姉の子を育てながら働いている、訪問看護師の星野麻世(広瀬すず)の二人だけ。
二人は、近隣に住むたった5名の患者を中心に「患者の生き方を尊重する」という考え方で治療を行っているため、これまで「救命」という戦場で戦ってきた咲和子には戸惑いの連続だった。
そんなある日、医大を卒業したものの国家試験に3回落ち、大学病院で事務のアルバイトをしていた野呂聖二(松坂桃李)が東京からやってくる。
咲和子を慕っていた聖二は、雑用でもいいから「まほろば」で働かせてほしいという。院長の計らいで往診時の運転手として使ってもらえることになった。
咲和子は、様々な事情から在宅医療を選択し、治療がむずかしい患者たちとの関わりの中で、人間としてのあり方を、患者やその家族とともに考えるようになっていく。
そんな矢先、咲和子の父が太ももを骨折。その後に発症した脳卒中の後遺症で「脳卒中後疼痛」に苦しむようになる。その痛みはもはやモルヒネさえ効かず、もはや為す術がなかった。
どうすることもできない痛みでのたうち回る父。父、達郎(田中泯)は咲和子に「ある提案」をするのだが・・・。
見どころ
患者6人のそれぞれの生き方
在宅治療を選んだ理由はそれぞれ違いますが、共通しているのは「劇的な回復は見込めない」こと。
その中で、残りの人生をどう生きようかと考えることで生まれる「いのちの輝き」は、在宅医療だからこそ身近に感じられるものなのかもしれません。
この患者さんたちの最後をぜひ見届けてあげてください。
吉永小百合さんの演技
吉永小百合さんのデビューは1959年の「朝を呼ぶ口笛」。以来122本目の映画に出演されていますが、医者役はこの作品が初めてなんだとか。
吉永小百合さんの作品は、バリバリ昭和生まれの私でさえあまり見たことがありませんでしたが、終始控えめな語り口は、おそらくこの作品の主役である「患者」を引き立てるためでもあったような気がします。
吉永世代の方であれば、感動すること間違いなし!
松坂桃李&広瀬すずの熱演
吉永小百合さんという大女優さんとの共演で、さぞかし緊張したかと思いますが、その緊張を跳ね除けるかの如く、二人の熱演には目を見張るものがありました。
ドラマのテーマや、吉永小百合さんのキャラクターもあり、終始ゆったりとした映像が流れる中で、良い意味でテンポアップしてくれたのがこの二人。
松坂桃李くんに至っては、彼の名演技で号泣した人も多かったはず。特に、小児がんの子の最後の望みを叶えてあげる場面。素晴らしいシーンでした。
広瀬すずちゃんも「若いお母さん役(自分の子ではない)」が板に付いていたし、「野呂っち」への恋心をあえて胸に閉まっている姿もいじらしいですよ。
永久に答えの出ないテーマ
物語のクライマックスは咲和子の父、達郎(田中泯)が、苦しさのあまり「ラクにして欲しい」と懇願すること。
救命にいた頃の咲和子だったら「そんなこと絶対ダメ..」と泣くだけで終わったかもしれないけど、在宅医療でさまざまの命のあり方を見た咲和子は真剣に考える…
そして迎えるエンディング。最後の最後で私たちに考えるテーマをくれます。
口コミ
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「医療ドラマまにあ」としての感想
最近の医療ドラマは「リアル」を重視している作品が多いですよね。手術シーンで皮膚にメスを入れて開腹する、心臓を見せる、血を吹き出させるなど。
これは確かにリアルだけど、医療ドラマ好きの私が求めるリアルは、助かる命より実は助けられない命の方が多いという現実。
映画「いのちの停車場」は、まさに人の命のリアルを描いた作品であり、その観点から言えば究極の医療ドラマと言っても過言ではありません。
この映画では何人かの患者さんの最後が描かれていますが、不思議と悲しさがないのは、その方の望む最後になるように「まほろば診療所」のスタッフたちが力を尽くす努力のほうが心に残っているから。
人の死を決して重たくなく伝えられているのは、脚本や出演者の演技力の賜なのでしょう。