『人間の欲望は得体の知れない怪物のようなもの』
そんな思いを抱かせてくれるのが岡田将生主演の「聖なる怪物たち」。それぞれのキャストが「代理母」という神の領域を利用して、自身の思惑を達成させるためにお互いを欺く姿は、人間の本性を見たようですごく印象的でした。
この記事では、「聖なる怪物たち」のあらすじとキャストについて紹介しています。
あなたは誰が本当の「怪物」だと思いますか?(若干ネタバレあり)
木曜ドラマ「聖なる怪物たち」
放送日時:2012年1月19日~3月8日 木曜日21:00 – 21:54
原作:河原れん「聖なる怪物たち」(幻冬舎文庫)
脚本:荒井修子 高山直也
主題歌:キャサリン・ジェンキンス「アヴェ・マリア(シューベルト)」 (ワーナーミュージック・ジャパン)
医療監修
医療監修:片山雅彦
外科監修:新村 核
産婦人科監修:赤枝恒雄
主なキャスト(怪物たち)
司馬 健吾/岡田将生
大久保記念病院の新人外科医。性格は至って真面目で正義感にあふれている。母親(佐々木希)は健吾を産んですぐに他界。床屋を営む父親の手一つで育てられた。
病院から追い出されようと医師生命の危機に直面しようとも、真実を暴き正義感を貫き通す信念は怪物に負けず劣らず。
春日井 優佳/中谷美紀(幼少期:葵わかな)
大久保記念病院の看護師長。いつも冷静実直で、院長も師長の言うことには逆らえない。
幼いころに両親を亡くし、妹の圭子(加藤あい)の面倒を見ながら施設で育った。妹のためには何でもしてやりたいという思いから「代理母出産」に加担する。
何を考えているかわからない表情の裏で、看護師という立場を利用し、一歩一歩目的に近づく用意周到さはまさに怪物そのもの。女は怖い。
平井 瑶子/大政絢
大久保記念病院の美人看護師。健吾に一目惚れし、自分の方からアタックして交際中。誰にでも優しい性格で患者からのウケもいいが、実は実の兄にお金を要求され困っている。
兄にあげる金を作るために、いかにも「患者のため」というフリをして患者を騙したり、元カレで圭吾の親友に金の無心に行くなど、なかなかの食わせ物。
日向 圭子/加藤あい
看護師長・優佳(中谷美紀)の妹。聖応育英会の理事長である敏雄(長谷川博己)と結婚し、副理事長として幼児教育に携わっている。
挙式当日に流産し子宮摘出手術を受けるが、どうしても敏雄との子どもが諦めきれず姉に相談する。
当初は「代理母出産」というタブーに引け目を感じていたが、あれこれ画策してくれる姉に対し、わがままな要求をしたり、わが子を持つことが、あたかも姑や敏雄の前妻に対する当てつけのように心が変化していく様は、まさに怪物が出来上がっていく過程そのもの。
日向 敏雄/長谷川博己
圭子(加藤あい)の夫で、聖応育英会理事長。若いが教育者として周囲からの評価も高い。圭子とは再婚で、前妻(森脇英理子)との間に男の子が一人いる。
表向きは教育熱心な人格者とされているが結構な遊び人で、聖応幼稚園教諭の三恵(鈴木杏)とも関係を持ったことがある。
どうしても子供が欲しいという圭子の無理難題に辟易していたが、突如浮上した「代理母」が自分の浮気隠しに利用できないかと企む。怪物と教育者の2枚舌。
有馬 三恵/鈴木杏
聖応幼稚園教諭。明るい性格で圭子(加藤あい)のことを尊敬している。子供が産めない体になった圭子を気の毒に思い、代理母となることを決心する。
敏雄と関係がありながら、何食わぬ顔をして代理母を受け入れるしたたかさ。実はこの時点で、三恵のお腹の中には赤ちゃんが..。赤ん坊の父親が誰かを知っているのは本人だけ。物語のカギとなる陰の怪物。
日向 華江/山本陽子(特別出演)
敏雄(長谷川博己)の母親。日向家当主の妻として政財界にも顔が利く大物。
圭子(加藤あい)は、日向家の跡継ぎを産む機械としか考えていない。圭子の出産を待ちわびるそぶりをするものの、ひょっとして全てお見通しだったのではないかと思われる言動も。怪物の上にはさらなる怪物がいるのかも。
あらすじと見どころ
第1話 嵐の夜の緊急オペ!! 外科医VS欲望の女
ある雨の晩、大久保記念病院に身元不明の妊婦が担ぎ込まれる。
当直だった健吾(岡田将生)は、初めてのカイザー(帝王切開)を実施。無事赤ちゃんを取り出したものの出血量が多く母体の状態が急変。輸血を施すも、残念ながら母親を救うことはできなかった。
健吾は「皮肉な偶然が重なり起こった残念な出来事」と自分に言い聞かせていたが、これは、偶然ではなく仕組まれた必然だったのだ。
大雨の夜、一台の車から苦しんでいる妊婦が道に置き去りにされるシーンは、医療サスペンスを語るにふさわしいミステリアスな展開
第2話 母親のお腹を盗む女
看護師長の優佳(中谷美紀)は、子供を産めない体になってしまった妹・圭子(加藤あい)の願いを聞き入れ、代理出産への準備を始めた。
圭子は本当は姉の優佳に産んでほしいと思っていたが、姉は過去に中絶したことが元で、子宮を全摘してしまったという。
妹の望みをなんとか叶えてやりたいと思う姉(中谷美紀)が、医療者ならではの知識を活かし神の領域に踏み込もうとする恐ろしい表情にご注目
第3話 私の赤ちゃんを返して!
優佳が妹の代理母に選んだのは、日向家が経営する幼稚園に勤める「三恵(鈴木杏)」。敏雄と圭子の子を妊娠させることに成功した優佳は三恵に対し、「出産したらすぐに子供を日向家に譲り渡し、決して他言しないこと」と書かれた誓約書にサインするよう迫る。
代理母に納得はしたものの、日に日に大きくなっていくお腹を見るたびに母の顔になっていく三恵が、だんだんと反発するようになる様は、この後の悲劇を予感させます…
第4話 誘拐逃げる女と追う女!!
無事、「三恵(鈴木杏)を妊娠させることに成功した」(と思っていた)優佳と圭子。
しかし三恵がだんだんとお腹の子に執着するようになり、自ら子供の名前を考えはじめるなど、母性を発揮し始めたことに不安を隠しきれないでいた。
お腹の子が自分と三恵の子供であると思って妻を欺ている敏雄(長谷川博己)。ドラマの最初から最後まで登場するハセヒロの色気に魅了されるファンも多いはず
第5話 緊急オペの真実!! 医療ミスか殺人か!?
優佳に問い詰められた三恵は、とうとうお腹の子の秘密を暴露。「この子は私の子、誰にも渡さない!」と圭子(加藤あい)に宣言し、日向家を出ようとするが、階段から転落し意識を失ってしまう。
圭子から連絡をうけた優佳は、三恵を車に乗せて病院前に置き去りにしたら、すぐに立ち去るようにと指示を出す。
医師としてまだまだ未熟な健吾(岡田将生)が、専門でもない産婦人科の手術をやってのけるシーンは山場の一つ。このシーンの中に「三恵」がなぜ急変したかのヒントが!
第6話 真相暴かれた完全犯罪!!
三恵の死の真相とその遺族の行方を探る健吾。だが、病院の事務から入手した住所は架空のもので、そこに三恵の家族はいなかった。そこに三恵の恋人だったという本間篤志(田中哲司)が訪ねてくる。
完全犯罪を紐解くのカギは、三恵の血液型が極めて稀な「ボンベイ型のO型」だったこと。それを知った健吾が自身の医師生命をかけた謎解きが始まる
第7話 殺したのは…あなただ!!
「三恵は輸血が間に合わなくて死んだんでしょう?」という篤志(田中哲司)の言葉に疑問を持った健吾は、手術の際に本当に正しい血液が輸血されていたかを師長に確認するのだが、師長は「あたりまえでしょう」と言わんばかりの態度で取り合ってくれない。
真実を追求すれば、一番見たくないゴールに近づいていると確信した健吾。でも、ここに生まれてきた一つの命が、大人たちの欲望の道具にされている今、健吾の使命感は止まらない
最終話 衝撃の最終回!! 犯人の命を救え
大久保記念病院で胃がん患者・糸川(渡辺いっけい)の手術を無断で行なった健吾は警察に連行されてしまう。
敏雄(長谷川博己)の口添えで釈放されるが、その場で敏雄に「これ以上、私たちの前には現れないでくれ」と釘を刺されてしまう。
母の愛情を知らない自分と三恵の子供の境遇を重ね合わせる健吾。赤ん坊の幸せは本当の親の元に返すことだと信じ、全員の前ですべての秘密を打ち明ける決心をする
「聖なる怪物たち」の楽しみ方
◆原作で楽しむ
豪華キャストのドラマはもちろんのこと、謎解きやトリックが多いストーリーは原作で読むのもおすすめです。
◆DVDで楽しむ
◆動画配信で楽しむ
動画配信で楽しむなら、U-NEXT がおすすめです。
最後に
どうしても子供が欲しいという気持ちは嘘ではなかったはずなのに、いつしか人間の欲望の道具となっていることに気づいていない愚かな大人たち。
昔は赤ちゃんは授かりもの、コウノトリが運んできてくれるものという神聖なものでしたが、コウノトリの籠に赤ちゃんを入れて、「あそこに運んでね」ってお願いできるのが今の医学です。
現に海外で代理母出産という制度を利用して幸せに暮らしているご夫婦だって多いはず。その子が幸せかどうかは「生まれ方」ではないと思うのが、一人の母親である私の感想です。