医療ドラマの中で一番涙もろい研修医は、妻夫木聡演じる「ブラックシャックによろしく」の斉藤先生。
いかにも頼りなさそうな研修医が一人前のドクターになるまでの姿に、思わず母性本能がくすぐられます。
今回はドラマの中心となる第6話から第9話の内容を振り返りながら、この作品の良さをご紹介します。
医療ドラマ好きの方、妻夫木ファンの方には絶対見ていただきたい、泣ける医療ドラマです。
ドラマ「ブラックシャックによろしく」
基本情報
放送日 | 2003年4月11日~2003年6月20日 TBS 全11話 |
原作 | 佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」(モーニング・講談社) |
プロデューサー | 貴島誠一郎、伊與田英徳 |
ディレクター・監督 | 平野俊一、三城真一 ほか |
脚本 | 後藤法子 |
音楽 | 長谷部徹 |
演出 | 平野俊一・三城真一・山室大輔 |
医療監修 | 長星憲・加部一彦・南淵明宏 |
医療協力 | 北里大学病院 |
キャスト
役名 | キャスト | 役柄と見どころ |
---|---|---|
斉藤英二郎 (さいとう えいじろう) | 妻夫木聡 | 永禄大学医学部を卒業した研修医。涙もろくてつい患者に感情移入してしまうが、多くの指導医に可愛がられる |
出久根邦弥 (でくね くにや) | 加藤浩次 | 斉藤の同期 開業医の息子でいずれは実家を継ぐことになっている 「スッキリの司会者の加藤浩次さん」とは思えない名演技 |
宗形正臣 | 松尾政寿 | 斉藤の同期 開業医の息子 |
赤城カオリ (あかぎ かおり) | 鈴木京香 | オペ室看護師 ちょっと手厳しいが斉藤に対して遠くからエールを送っている 男勝りだが彼女にも辛い過去がある |
皆川 泰子(みながわやすこ) | 国仲涼子 | NICU(新生児ICU)の看護師 こんなナースがいたらいいだろうなと思える人柄 |
橘 理沙子(たちばなりさこ) | 綾瀬はるか | 看護師 可愛いけどナースとしてはちょっと頼りない?感じ |
春日部 一郎 (かすかべ いちろう) | 伊東四朗 | 永禄大学第一外科教授 いかにも大学病院の教授って感じ 「白い巨塔」にも合いそう |
高砂 春夫(たかさごはるお) | 笑福亭鶴瓶 | 永禄大学NICU医師 笑福亭鶴瓶さんの医者役も悪くない あの笑顔で患者は癒やされるかも |
白鳥 貴久 (しらとり たかひさ) | 三浦友和 | 永禄大学第一外科医師 いかにも優秀な外科医という雰囲気 |
安富 良之(やすとみよしゆき) | 鹿賀丈史 | 永禄大学小児科医師 あの人相と小児科というのがギャップがあるが子供のウケはいい |
北 三郎(きた さぶろう) | 原田芳雄 | 永禄大学心臓外科医師 原田芳雄さんと「心臓外科医」というのが私的にはしっくりこない |
服部 脩(はっとり) | 緒形拳 | 斉藤のアルバイト先である誠同病院院長 夜勤一回10万で初めてアルバイトしたときの試練が英二郎の原点になっている |
牛田 克雄(うしだ かつお) | 杉本哲太 | 誠同病院医師 百戦錬磨を切り抜けてきた自負がある |
田辺 秀勝 (たなべ ひでかつ) | 吉田栄作 | 双子の未熟児(ダウン症)の父 弁護士という仕事柄一見冷たい雰囲気だが、子供に対する親の愛を見事に演じていた。横山めぐみさんとの夫婦役もバッチリ |
田辺 佳子 (たなべ けいこ) | 横山めぐみ | 双子の未熟児(ダウン症)の母 海辺での名セリフがこの作品を引き立てたのは間違いない |
斉藤トモ子(さいとう ともこ) | 浅茅陽子 | 英二郎のの母 浅茅陽子さんが妻夫木聡の母親役か…とちょっとしみじみ |
主題歌
平井 堅 『LIFE is… ~another story~』
作詞・作曲 平井 堅
私の中の名曲の一つ。ドラマのヒットは主題歌と共にあると思っています。
この曲と斉藤先生の涙が重ると、もうこらえきれません。
ロケ地
「ブラックシャックによろしく」のメインのロケ地はなんと!日本医科大学千葉北総病院です。
コード・ブルーやナイトドクターのロケ地でもあり、今やすっかり医療ドラマの聖地になりましたね。
周りに高い建物がなくて病院も形やエントランスも見栄えがよく、素人目にも医療ドラマにはぴったりだな~と思います。そのほか、
- (株)日立製作所 日立総合病院(茨城県日立市城南町)
- 川崎市立井田病院(神奈川県川崎市)
- 国保鋸南病院(千葉県安房郡鋸南町)
- 東京工科大学 日本工学院八王子専門学校(東京都八王子市)
などもロケ地となっています。
第6話~第9話あらすじ
斉藤(妻夫木聡)の次の研修先はNICU(新生児集中治療室)。田辺佳子(横山めぐみ)が妊娠28週で破水し帝王切開することになった。
生まれた子は双子で兄870グラム、弟850グラムの超未熟児で、いつ肺出血をおこしてもおかしくない状況だったが、初めて出産に立ち会った斉藤は命の誕生に感動していた。
ところが子供の父親、田辺秀勝(吉田栄作)の口から出た言葉は「子供を死なせてやってください…」
母親(横山めぐみ)は子供の対する愛情はあるものの夫の意見に添うしかなく、赤ちゃんの名前も決まらないまま退院してしまった。
その後、弟のほうがダウン症による十二指腸閉塞を起こし手術しないと助からないことが判明。夫婦に説明するも夫は手術を拒否。どうしても我が子と認めたくないのだ。
あきらめきれない斉藤(妻夫木聡)はアルバイト先の院長(緒形拳)に相談したり、高砂(笑福亭鶴瓶)に直談判するも決め手なし。
カオリ(鈴木京香)には、「裁判沙汰になったらNICUは潰される」と釘をさされる始末。
そんな中、双子の兄が亡くなった。残った弟だけでも救いたいと思うが父親の意思は変わらない。
斉藤は「このまま死を待つだけなら自分で手術をするしかない」と無謀にもオペの練習を始め強引に手術しようと試みる。
斉藤の熱意に根負けした高砂は「手術の承諾は取れている」と嘘をつき、小児外科の医師にオペを依頼して何とか命をつなげた。
その頃夫婦は葛藤していた。父親(吉田栄作)は弁護士という職業柄、今の日本がまだまだ差別社会であること、弱者が生きにくい世の中であることを憂い、障害をもちながら生きていく我が子が不幸になることを恐れていたのだ。
しかし母は決心していた。夕日が落ちる海辺で夫にこう告げる…
妊娠がわかった日もこんな綺麗な夕焼けだったね
忘れたよ もう。
私たちが欲しがってたのって何だったのかな
このままあの子まで死なせたら私たち一生不幸ね
でもあの子に苦しい人生を送らせないですむ
苦しい人生って何? しあわせな人生って?
ずっと可哀想って言われて 子供が出来なくて可哀想って
でも私たち不幸だったのかな
秀勝との2人きりの生活、私….幸せだったよ
なんで気づかなかったんだろう
最初から 亡くす前に
別れよう…
佳子(横山めぐみ)は、夫と別れる決心をして病院へ急ぎ「手術してください」と。
手術が成功し安堵しているところに秀勝(吉田栄作)がやってきて、斉藤(妻夫木聡)にこう告げる。
「何が正しい答えなのか、ついに分からなくなったよ。だけど、考え続けることが答えなんだと思う」
▶実際の海辺でのシーンこちらから
最後に
ずっと子供ができなくて、やっと授かった子がダウン症児。ドラマとはいえ現実にはしばしば起きていることで、子を持つ親の気持ちとしてついのめり込みました。
泣き虫の斉藤ドクターでなくても涙腺崩壊のドラマです。特に、夕日が落ちていく海を背景にした佳子(横山めぐみ)の言葉、「私、しあわせだったよ..」。
このシーンは私が数々見てきた医療ドラマでも、5本の指に入る名シーンの一つです。