連続ドラマに新しい表現の可能性をひらいたとして評価の高かった「アンメット ある脳外科医の日記」。
派手で奇抜な演出で盛り上げるのではなく、俳優たちの確かな演技力で登場人物たちがまるで視聴者と同じ世界を生きているように感じさせる世界観が話題を呼びました。
この記事では、噂には聞いていたけど見逃した、何度でも見たい!という方のために、2024.8月現在の配信状況や視聴する方法についてお伝えします。
今までになかった雰囲気を感じさせる医療ドラマです。ぜひご覧ください。
「アンメット ある脳外科医の日記」
2024.04.15(月)~2024.06.24(月)夜10:00 関西テレビ
スタッフ
脚本: 篠﨑絵里子 (『いま、会いにゆきます』『クロサギ』アニメ『ちびまる子ちゃん』など)
演出: Yuki Saito 本橋圭太 日髙貴士
プロデューサー 米田 孝 本郷達也
音楽 fox capture plan
原作
子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)
「アンメット-ある脳外科医の日記-」(講談社「モーニング」連載)
イメージソング
◆主題歌
あいみょん「会いに行くのに」(unBORDE/Warner Music Japan)
◆オープニング曲
上野大樹「縫い目」(cutting edge)
ミステリアスでどこか満たされない感じがたまらない。一つ一つの記憶を縫い合わせていくという作品のコンセプトにぴったりの曲です。
医療監修・医療指導
◆医療監修
石川久(国際医療福祉大学三田病院)
◆医療指導
中澤暁雄(医療)
石川千恵美(看護)
半澤由美(看護)
坪田康佑(看護)
宮尾達也(看護)
貫井さと子(言語聴覚士)
増田司(理学療法士)
主なキャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
川内ミヤビ (かわうち ミヤビ) | 杉咲花 | 丘陵セントラル病院脳外科医。ある事故で脳を損傷し、記憶障害を抱えている |
三瓶友治 (さんぺい ともはる) | 若葉竜也 | 丘陵セントラル病院脳外科医。医師としては優秀だがマイペースで変わり者 |
綾野 楓 (あやの かえで) | 岡山天音 | 関東医科大学病院脳外科医。麻衣の婚約者 |
西島麻衣 (にしじま まい) | 生田絵梨花 | 関東医科大学病院脳外科秘書、 関東医科大学同窓会長の孫娘 |
西島秀雄 (にしじまひでお) | 酒向芳 | 麻衣の祖父。西島医療グループの最高権力者 |
森 陽南子 (もりひなこ) | 山谷花純 | 丘陵セントラル病院脳外科 看護師。ミヤビとは事故の前から仲が良く飲み友達 |
藤堂利幸 (とうどう としゆき) | 安井順平 | 丘陵セントラル病院院長 |
成増貴子 (なります たかこ) | 野呂佳代 | 丘陵セントラル病院麻酔科医 |
星前宏太 (ほしまえ こうた) | 千葉雄大 | 丘陵セントラル病院救急部長。脳外科を兼務している |
津幡玲子(つばたれいこ) | 吉瀬美智子 | 丘陵セントラル病院 看護師長 |
大迫紘一 (おおさこ こういち) | 井浦 新 | 関東医大病院脳外科教授 ミヤビの主治医。観葉植物の収集が趣味 |
あらすじ
#01 私の記憶は一日限り…記憶障害の脳外科医再生の物語
脳外科医の川内ミヤビ(杉咲花)は1年半前に起きた不慮の事故で脳を損傷し、過去2年間の記憶をすべて失った。
新しい記憶も1日しか覚えていられないため、毎朝5時に起きて机の上の日記を読み、失った記憶を覚え直すことから1日が始まる。
現在は、関東医科大学病院脳神経外科の教授・大迫紘一(井浦新)の治療を受けながら、教授の勧めで丘陵セントラル病院で看護助手として働いている。
そんなある日、女優の赤嶺レナ(中村映里子)が救急搬送されてくる。検査の結果は「脳梗塞」。
アメリカから帰国したばかりの脳外科医・三瓶友治(若葉竜也)は、ミヤビにも手術を手伝うよう指示するが、救急部長の星前宏太(千葉雄大)から、ミヤビが記憶障害であることを聞かされて・・・。
「脳梗塞」とは、何らかの原因で脳の動脈が閉塞し、血液がいかなくなって脳が壊死してしまう病気。
片方の手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出てこない、視野が欠ける、めまい、意識障害など様々な症状が突然出現し、程度は様々だが多くの方が後遺症を残す場合が多い。
参考:東京逓信病院
#02 左の感覚失った少年…日記にはない秘密
三瓶(若葉竜也)の助手として、記憶障害のミヤビ(杉咲花)が手術に参加したことは大きな波紋を呼んでいた。
そんな中、サッカー強豪校でエースとして活躍する高校生の鎌田亮介(島村龍乃介)が試合中に倒れ、救急に運ばれてくる。
検査の結果、右脳を損傷している亮介には身体の左側の感覚を全て失う「左半側無視」という後遺症が残っていると判明。
その頃、記憶障害の自分に主治医が務まるのか不安を覚えるミヤビに、三瓶は「僕がそばにいますから」と背中を押すのだが・・・。
脳の損傷(一般的には右半球)により、視力の問題とは別に左側の空間の認識が出来なくなる症状。
例えば、左側の食事を残す、左側の壁にぶつかるなどがあり、症状が強いとそれらを自覚することも難しくなる場合があります。
参考:脳梗塞リハビリセンター
#03 忘れられた婚約
ミヤビ(杉咲花)は三瓶(若葉竜也)から、いきなり「僕たちは、婚約していました」と驚きの告白を受ける。
激しく動揺したミヤビは、その言葉を日記に残すかどうか迷ってしまう。
その頃、看護師の津幡(吉瀬美智子)はミヤビの主治医である大迫(井浦新)の元を訪ね、ミヤビを手術に参加させるべきではないと直談判する。
周りからは越権行為だと反発の声があがるが、津幡が異常なまでに患者の安全に固執するのには、ある理由があって・・・。
#04 記憶障害の謎…深まる対立
三瓶(若葉竜也)が検査した結果、ミヤビ(杉咲花)の脳には、これほど重度の記憶障害が残るような大きな損傷は見当たらなかった。
検査結果に納得できない三瓶は、後日ミヤビのカルテをこの目で確認しようと大迫の元を訪ねるが、秘書の麻衣(生田絵梨花)から大迫は終日不在だと言われて会うことができない。
その頃ミヤビは、破裂の恐れのある動脈瘤を持つ、ロボット工学研究者の加瀬誠(前原瑞樹)を担当することになった。
「脳動脈瘤」が破裂するリスクは年間1%程度だが、破裂すれば重度の障害が残るか、最悪は死に至る。しかし手術をすれば4~10%の確率で後遺症が残る。
究極の選択を強いられた加瀬にミヤビは根気よく寄り添い、ある提案をする。
脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)とは、脳動脈にできた、コブの様に、あるいは、紡錘(ぼうすい)形にふくれた部分のこと。
代表的な発生部位として中大脳動脈、内頚動脈、前交通動脈、脳底動脈などがあり、血管が枝分かれする場所によく出来る。
参考:慶応義塾大学 脳神経外科学教室
#05 難手術・・・あなたはできます
寺の住職・成海(三宅弘城)が、読経中に意識を失い運び込まれてくる。検査の結果は「もやもや病」。
早速手術が行われることになったが三瓶(若葉竜也)はミヤビを術者に指名する。
ミヤビは、もやもや病の血管は細く手術の難易度も高いため、今の自分にはまだ無理だと反論するも、三瓶は「川内先生ならできます」と背中を押す。
一方、全科で専門医レベルを目指す星前(千葉雄大)は、自分にも脳外科の手術をさせてほしいと三瓶に頼む。
星前は、自分の専門以外の知識がない医者を「専門バカ」と呼び、それによって困る患者を1人でも減らしたいと思っていたからだ。
ところが三瓶はその考えを真っ向から否定し、手術への参加もあっさり断られてしまう。
もやもや病とは、脳の主要な太い血管が徐々に細くなり、脳に十分な血液を送ることが出来なくなった結果、足りない血液を補填しようとして細い血管(もやもや血管)が形成される病気。
正式な病名は「ウィリス動脈輪閉塞症」。
参考:横浜新都市脳神経外科病院
#06 あなたは記憶障害を作った
過去に脳出血の治療を受けた山本健太郎(鈴之助)が、「てんかん発作」で搬送される。
一度発作が起きると今後も繰り返す可能性が高いことから、山本には抗てんかん薬が処方されることに。
実はミヤビも一度もてんかん発作を起こしたことがないにも関わらず、予防のためという名目で抗てんかん薬を処方されていた。
不審に思った三瓶(若葉竜也)は、ミヤビの記憶障害についてある疑惑を持つ。
その頃、抗てんかん薬を服用し始めた山本は、十分な睡眠をとるため夜勤を減らしたいと会社に申し出るが、後遺症への理解が乏しい上層部から特別扱いはできないと言われ、日中の仕事もしばらく休むよう通告されてしまう。
自らも後遺症を抱えながら働くミヤビは、山本のためにある大胆な行動に出る。
「てんかん発作」は、脳の一部の神経細胞が突然一時的に異常な電気活動を起こすことで生じますが、脳のどの部位で起こるかにより様々な「発作症状」を示します。
症状は基本的に一過性で、てんかん発作終了後は元通りの状態に回復することが特徴です。
参考:医療法人社団 樹々会 日吉台病院
#07 記憶がすり替わっている
ミヤビが懇意にしている居酒屋『たかみ』のオーナー高美武志(小市慢太郎)の脳に、「髄膜腫(ずいまくしゅ)」という腫瘍が見つかる。
料理の味付けが濃いことに気づいたミヤビが検査を勧めたからだ。
手術そのものは可能だが、腫瘍切除の際に神経が傷ついて嗅覚を失う可能性が高く、料理人としての未来が絶たれる可能性が高かったが、手術をしなければ命にも関わる。
その頃ミヤビは前日の記憶こそ残っているものの、その内容に間違いが多いことに気づく。
三瓶は、脳の中で記憶がすり替わる「記憶錯誤」が起きている可能性を指摘するのだが・・・。
髄膜腫とは、脳を包む髄膜(クモ膜の表層細胞)から発生する脳腫瘍。代表的な良性腫瘍の一つだが、圧迫される神経によって様々な症状を呈する。
髄膜腫は脳組織から発生した腫瘍では無く、しかもゆっくり大きくなってくるために、比較的大きくなってから症状が見られることが多い。
参考:日本医科大学付属病院
#08 揺れ動く二つの婚約
綾野(岡山天音)の実家である綾野病院は多額の債務を抱えており、西島麻衣(生田絵梨花)と結婚して西島グループの傘下に入らなければ倒産するのは時間の問題だった。
事実を知った麻衣(生田絵梨花)は婚約を解消すると言い出す。
そんな中、綾野の父・勲(飯田基祐)が交通事故で頭部に外傷を負い、丘陵セントラル病院に運び込まれる。
ミヤビ(杉咲花)たちの手によって一命を取り留めるも、喜怒哀楽を抑えられなくなる「社会的行動障害」という後遺症が残ってしまった。
そのためしばらくの間、勲に代わって綾野が過疎地の診療所へ通うことになって・・・。
交通事故や脳出血などで脳を損傷し、後遺症として、記憶や注意などの認知機能低下のほかに「感情や欲求がおさえられない」「すぐ怒る」「何もやる 気がない」などの社会生活に大きく影響するような行動がおきる障害のこと。
参考:国立障害者リハビリテーションセンター
#09 記憶障害の本当の原因は…
過去に三瓶(若葉竜也)と綾野(岡山天音)と麻衣(生田絵梨花)と4人で食事をしたことを思い出したミヤビ(杉咲花)は、麻衣が三瓶との婚約について何か知っているのではないかと考える。
思い切って麻衣に尋ねると、その記憶は自分たちが南アフリカのケープタウンで三瓶と初めて会ったときのものだと分かる。
当時、ミヤビと三瓶が2人でよく行動していたことは事実だが、それは綾野からのアプローチをかわすためのダミーだったというのだ。
そんな中、偶然、西島(酒向芳)と出くわしたミヤビは、西島の隣を歩く鵜原建設の押尾晴人(黒田大輔)を見て足がすくむ。
理由は分からないが、とてつもない恐怖を感じたのだ。戻ってきたミヤビの様子に異変を感じ、話を聞いた三瓶は…。
#10 あなたが灯してくれた光
ミヤビ(杉咲花)に「一過性健忘」の症状が現れ、三瓶(若葉竜也)が誰だか分からなくなってしまう。
大迫(井浦新)は三瓶にミヤビの病状を詳しく伝えた上で、手術するにはあまりにも危険だから絶対に手を出すなと釘を刺す。
そんな矢先、画家の柏木周作(加藤雅也)が公園で「てんかん発作」を起こし搬送されるが、重度の脳腫瘍を患う周作は、もはや手の施しようがない状態だった。
その証拠に、記憶がどんどん失われて妻・芳美(赤間麻里子)のことすら分からなくなっていた。
その頃三瓶は大迫の元で見た、より精細な脳のMRI画像を思い出していた。
ミヤビの記憶障害の原因は、決して人がメスを入れてはいけない領域「ノーマンズランド」にあり、無理に手術をすれば命に関わる状態だ。
葛藤しながらも手術の練習に没頭する三瓶に、ミヤビはある決意を口にして・・・。
一過性全健忘とは、突然、数時間前からの記憶がなくなってしまう症状。新しい記憶を維持する能力と、発作中に起こった出来事を思い出す能力が突然かつ一時的に失われる。
自分の名前や住所などは覚えているが、どうして自分はここにいるのかなどの状況が分からなくなり、何度も同じ質問を繰り返すこともある。
参考:八重洲クリニック
#11 いつまでも忘れません
ミヤビ(杉咲花)が激しい頭痛に襲われ、倒れた。このまま症状が進めば脳梗塞が完成して命に関わるのも時間の問題だった。
三瓶(若葉竜也)は、すでに数時間しか記憶がもたなくなっているミヤビに、これ以上症状が進行するようなら手術させてほしいと伝えるが、手術はしないというミヤビの決心は固い。
あきらめきれない三瓶は、限られた時間でノーマンズランドの0.5㎜以下の血管を吻合するための練習に没頭。
しかし、ミヤビの気持ちを察した津幡(吉瀬美智子)から、「彼女が望んでいることをしてあげて」と言われ、あることを決意する・・・。
「アンメット ある脳外科医の日記」を見る方法
◆再放送を待つ
2024.8月現在、再放送の予定はありません。
◆動画配信で見る
「アンメット ある脳外科医の日記」は以下のサービスで視聴することができます。(2024.8現在)
配信サービス | 配信状況 | 月額料金(税込) |
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最後に
「記憶障害の脳外科医」という前代未聞の主人公。これまでの医療ドラマにはなかった斬新な脚本でミステリー性もあり、回を追うごとに面白さが増していきました。
特に三瓶とミヤビの掛け合いシーンは、噂にもあるように演技の枠を超えてお互いを知り尽くした関係であるがごとく、BGMも音もない間さえ愛情を感じられる名場面が多かったように感じます。
「自分の中に光があったら、暗闇も明るくみえるんじゃないかなーって。」
ミヤビのこのセリフは、日々自分を見失いがちな私たちにとって最高のエールではないでしょうか。