ドクターヘリの名を世に知らしめた「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~」。
続編を希望する声が集中する中、どうやら2024年冬もしくは2025年に春にスペシャル版の制作が決定したとのこと!
この流れにのって、願わくばシーズン4が見たいと思うのは私だけではないでしょう。
そこで今回は、コード・ブルーの原点である「シーズン1」のあらすじや見どころを解説しながら、コード・ブルーの魅力に迫ってみたいと思います。
シーズン1からすでに16年。キャストの初々しさ必見ですよ!
コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~ 1st season
放送日:2008年7月3日~9月11日
スタッフ
脚本:林宏司
プロデューサー:増本準
音楽 :佐藤直紀
演出: 西浦正記、葉山浩樹
医療監修
医療監修:益子邦洋、松本尚、原義明(全て日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター)
医療指導:日本医科大学千葉北総病院救命救急センター(通称:北総救命)、新村核(森山記念病院脳神経外科)、茨木保(いばらきレディースクリニック)
※所属は当時のものです
主なロケ地
翔陽大学附属北部病院 日本医科大学千葉北総病院
千葉経済大学 翔陽大学附属北部病院の食堂
成田メモリアルパーク 三井が訪れた墓地(第3話)
旧日本加工製紙高萩工場 ガス爆発のあった工場(第5話)
成田国際空港
伊佐布トンネル 多重事故が発生したトンネル(最終回)
主題歌
Mr.Children「HANABI」(トイズファクトリー)
主なキャスト
※翔陽大学附属北部病院救命救急センター→翔北救命
※翔陽大学附属北部病院→翔北病院
◆藍沢耕作(あいざわ こうさく)/山下智久
翔北救命フライトドクター候補生。奨学金で国公立の上越大学医学部を卒業した苦労人。性格は無口でぶっきらぼう。クセはペン回し。
◆白石恵(しらいし めぐみ)/新垣結衣
翔北救命フライトドクター候補生。温和で真面目ながゆえに若干自己主張が苦手。父は明邦医科大学の教授
◆緋山美帆子(ひやま みほこ)/戸田恵梨香
翔北救命フライトドクター候補生。人一倍プライドが高いが本当は世話好きで優しい性格。
◆藤川一男(ふじかわ かずお)/浅利陽介
翔北救命フライトドクター候補生。フェローの中ではムードメーカー的存在
◆冴島はるか(さえじま はるか)/比嘉愛未
翔北救命の看護師。フライトナース。オペ看の経験がある。代々医師の家系に育ち、自身も医学部を受験するも不合格だったため看護師になった。言いたいことははっきり言う性格。
◆三井環奈(みつい かんな)/りょう
翔北救命フライトドクター。専門は産婦人科と新生児医療。妊婦と胎児の命を救えなかった事で遺族から訴えられた経験があり、トラウマになっている。
◆黒田脩二(くろだ しゅうじ)/柳葉敏郎
翔北救命フライトドクター。フライト回数800を超えるベテラン医師
◆森本忠士(もりもと ただし)/勝村政信
翔北救命フライトドクター。フライトドクターとして400回以上のヘリ出動を経験している。愛用品は肩のつぼ押しグッズ。CS室の轟木に求愛中。
◆大原澄子(おおはら すみこ)/池田貴美子
翔北救命の看護師長
◆田所良昭(たどころ よしあき)/児玉清
翔北救命の初代部長。離島で20年間内科医をしていたが翔北病院に呼ばれドクターヘリ事業を立ち上げた
◆西条章(さいじょう あきら)/杉本哲太
翔北病院の脳外科部長。黒田とは長年のライバル
◆梶寿志(かじ ひさし)/寺島進
航空会社に所属するドクターヘリのパイロット。飛行時間3,000時間を超えるベテラン。妻は17歳年下で、いつもかわいらしい愛妻弁当を持参している
◆安西康行(あんざい やすゆき)/樋渡真司
ドクターヘリの整備士
◆轟木聖子(とどろき せいこ)/遊井亮子
翔北病院のコミュニケーションスペシャリスト。運航管理CS室に所属し、ヘリにランデブーポイントなどの指示を行う。アメリカ人の彼氏がいるが、医師の森本からも猛烈なラブコールを受けている
◆藍沢絹江(あいざわ きぬえ)/島かおり
耕作の父方の祖母で育ての親。買い物をしている時に転倒し、大腿部骨折で翔北に救急搬送される
◆田沢悟史(たざわ さとし)/平山浩行
冴島の恋人で元外科医。筋萎縮性側索硬化症 (ALS)を患っており余命宣告されている
※ 筋萎縮性側索硬化症 (ALS)とは
筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経「運動ニューロン」が障害を受け、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が、だんだんやせて力がなくなっていく病気。
あらすじと見どころ
第1話 命を運ぶ翼、ドクターヘリ緊急救命。
翔陽大学附属北部病院救命救急センターに、フライトドクター候補生として4人の医師がやってくる。
優れた技術を持ち一日も早く一流の外科医になることを目標とする藍沢耕作(山下智久)、ドクターヘリのノウハウを地元の救命センターに持ち帰るためにやってきた白石恵(新垣結衣)、男勝りでライバル心むき出しの緋山美帆子(戸田恵梨香)、小心者で見栄っ張りだが根は真面目な藤川一男(浅利陽介)の4人だ。
赴任初日、早くもドクターヘリ(以後、ドクヘリまたはヘリ)によって搬送された患者に出くわす。
ヘリから飛び出してきたのは最年少のフライトナース・冴島はるか(比嘉愛未)と、救命のエースであり4人の指導医となる黒田脩二(柳葉敏郎)。
黒田は4人に向かって、「ドクターヘリではひとつのミスも許されない。ミスは、即、患者の死だ。ヘリに乗れる医師は、重圧に耐えられる精神力と腕を持った者だけ。お前ら全員ライバルだ。能力のないヤツからふるい落とされていく。いいな」と釘を刺す。
そしてその日の午後、急遽、藍沢がドクターヘリに乗ることになった。
患者は工場で右腕を挟まれ、右大量血胸でショック状態。命を助けるには腕を切断する以外に方法はない。
初日から四肢切断という大仕事をやってのけた藍沢の最初の言葉は、目を輝かせて「面白かった…」と。
フェローが最初のヘリ乗務で腕を切断するというのは現実にはありえないと思いますが、「症例をこなして名医になる」という言葉どおり、その後の藍沢の成長を裏付けるにはインパクトのある回でした。
第2話 責務
翔北病院の館内スピーカーから急患を知らせる「コード翔北」のアナウンスが流れる。
歯科の女子トイレで、西口八重(二宮弘子)という老婆が心停止状態で倒れているという。
その患者は、昨晩、歯痛を訴えて救急外来を受診し、藍沢が診察して帰宅させた女性だったのだ。
「鼻がかみにくい」という主訴があったにも関わらず、問診が足りず「脳血栓」を見落としたのではないかと思われた。
黒田は、愕然とする藍沢に向かって「よく見ておけ。お前が殺しかけた・・・いや、殺すかもしれん患者だ」と言い放つ。
そんな中、ドクターヘリの出動要請が入り緋山に乗務のチャンスが回ってくる。
患者は妊娠39週の妊婦。スーパーの駐車場で倒れショック状態だという。
自分にヘリ勤務が回ってきたことに有頂天になっている緋山は、三井(りょう)、冴島とともに意気揚揚と現場に向かうものの気持ちだけが空回り。
「排臨しているからヘリで産ませる」という三井の指示に対し、何もできず立ち尽くすだけだった。
第1話で腕切断という大役をこなし、自信をつけた矢先の藍沢のミス。決しておごりがあったわけではないと思いますが、ヘリ乗務に意欲を燃やしている藍沢が、ウォークイン(直接歩いて)で救命に来た患者を軽く見たことは否定できません。
動揺を顔に出さない藍沢が、実は内心冷や冷やでチラッと垣間見せる不安そうな目、体調が持ち直してホッとした表情は母性本能をくすぐります…
第3話 急変
ヘリ乗務を命ぜられた藍沢(山下智久)は、黒田(柳葉敏郎)、冴島(比嘉愛未)とともに、薬物使用によって55階のベランダから転落した大学生・小倉友基(三浦アキフミ)を搬送し、一命を取り留める。
白石(新垣結衣)は、階段から転落したという本山由希子(円城寺あや)の処置。緋山(戸田恵梨香)は、卵巣のう腫茎捻転を発症している、弁護士・若杉貴子(鳥居かほり)のわがままぶりに頭を抱えていた。
そのころ藤川(浅利陽介)は、急性虫垂炎の手術を終えた患者・雪村南(高山紗希)から、ストーカー被害の相談を持ちかけられ、たまたま見舞いにきていたストーカー男・小野寺(やべけんじ)に2度と面会にこないよう説得していた。
その夜の当直は白石と藤川。フェローだけの救命センターに泥酔状態で転んだというサラリーマンの島田(春海四方)が救急搬送されてくる。
幸いケガは軽傷のようだが、白石と藤川は念のため島田のCT検査を行い、ICUで様子を見ることにしたのだが容態が急変してしまう。
フェロー(新人)だけで当直をするというのは、さぞかし不安なことでしょう。びびる藤川を横目に、白石には覚悟と冷静さがあり、将来、翔北救命を引っ張っていく存在になることを予感させます。
また、未だにヘリ乗務の指示がない藤川の焦りや葛藤など、人生の選択に迫られる場面も必見です。
第4話 母の愛
藍沢(山下智久)は、黒田(柳葉敏郎)から「退院係」を命じられた。快方に向っている患者をどんどん退院させなければ、救命のベッドが満床になってしまうからだ。
藍沢(山下智久)は「なぜ俺が?」という顔をしながらも、しぶしぶ引き受ける。
そのころ緋山(戸田恵梨香)は、前回のヘリ乗務で何もできなかったため、黒田に愛想をつかされてしまったのではないかと落ち込んでいた。
藤川(浅利陽介)は、そんな緋山に黒田から呼ばれたことを話す。ついにヘリ乗務だ!と大はしゃぎする藤川の様子を見て緋山はショックを隠せない。
そんな中、散歩中に胸の痛みを訴えた老人が救急搬送されほどなく心肺停止。黒田が除細動(AED)による電気ショックを実施。
その際、藤川がベッドから落ちた患者の手をつかんでしまったため感電し、その場で倒れてしまうという、前代未聞の事態が起こる。
今回の主人公は藤川。藤川はつねづね母に「フェローの中で俺が一番成績が良い」といって安心させていましたが、それが強がりであることを母は薄々気づいていました。
藤川に会うために病院に面会にきたものの、結局会わずに病院を去る静子。その淋しそうな後姿を見つめる藍沢の横顔は母の愛情を知らない淋しさと、母替わりであるばーちゃんの絹江(島かおり)に対する想いが見え隠れします。
その人間らしい表情と、腕の切断もいとわない強さとのギャップが、彼の魅力なんですよね…
第5話 過去
藍沢(山下智久)たちは病院の受付で、「三井(りょう)に妻と息子を殺された!」と叫ぶ男を目撃する。藤川(浅利陽介)は医療ミスに違いないと興味津々だ。
そんな中、白石(新垣結衣)は前を歩いていた老人の体が右側に傾いていることに気づく。
次の瞬間、突然倒れたその老人はMRI検査の結果、「右延髄外側梗塞」と「脳ヘルニア」と診断された。
藍沢と白石は、老人の息子・俊夫(田口主将)とその妻・春江(佐野珠美)に、手術をしても2、3カ月の余命であること、手術をすれば意識が戻らなくなることを説明し、薬で痛みを取る治療を勧める。
そんな矢先、消防署からヘリ要請。建設現場でガス管が爆発し、負傷者が3名いるという。
森本(勝村政信)、三井、冴島(比嘉愛未)が現場到着。負傷者は3名どころか30名ほどに増えており、トリアージが必要なため全く人手が足りない。
連絡を受けた黒田は、藍沢、白石、緋山の3人に、患者を搬送してくるヘリにタッチアンドゴーで現場に向かうように指示、大規模災害や事故などの現場で医療活動を行う専門的な医療チーム「DMAT(ディーマット)」も要請する。
そのころ初療室では、ヘリに乗れず唇をかみしめる藤川(浅利陽介)が待っていた。
数ある医療ドラマの中で、コードブルーの面白いところは現場での四肢切断とか、体に杭がささった「串刺しシーン」のような場面を詳細に作り上げていること。
丁寧な医療監修や医療協力がなければ再現できない場面が多く、この回も藍沢が串刺しを抜き、心停止になった患者を蘇生させるシーンがリアルに表現されています。
あわせて読みたい:https://medical-drama.com/codeblue-medical-supervision/
第6話 無償の愛
翔北救命に、藍沢(山下智久)の祖母・絹江(島かおり)が運び込まれる。買い物途中に転倒して大腿骨を骨折したらしい。
そのころ緋山(戸田恵梨香)は森本(勝村政信)とともに、家の屋根から転落し、ショック状態に陥った小田(大高洋夫)をヘリで搬送する。
そこへヤンキー風の娘が駆けつける。事情を聞くと結婚相手のことで父親と口論になり、父親を屋根から突き落としたのだという。
同じころ、藤川(浅利陽介)は、微熱と腹痛を訴えて救急外来にやってきた上村(北見敏之)を診察していたが、上村の息子・久志(熊谷知博)から奇妙な話を聞かされる。
久志の話では、父が苦しんでいるのは自分が父親に「黒魔術」という呪いをかけたからだというのだ。
息子の話が理解できないまま医局に戻った藤川は、白石(新垣結衣)や緋山を相手に、藍沢の噂話を始める。
藤川によれば、藍沢は幼いときに両親が離婚し、引き取った母親が他界したために絹江に育てられたのだという。
そんな中、藍沢はようやく絹江のもとを訪ねる。するとそこに藤川と緋山、白石がやってきたため、藍沢は絹江に自分の同僚たちだと紹介する。
絹江は全員の顔をしげしげと眺めながら、藍沢に対しても「初めまして」と挨拶。急な環境の変化で認知症が悪化し、孫の顔もわからなくなっていたのだ。
第6話はめずらしく、処置や生々しいオペシーンはなく、フェローそれぞれが体験する「無償の愛」をテーマにした暖かくも切ない回です。
絹江が認知症で藍沢の顔が分からないという話は、実はドラマのプロデューサーの実話なのだとか。肉親が自分を「他人」と判断する現実はどれほど悲しいことでしょう。
それでも必死に介護しようとする藍沢の切なさを、見事に演じています。
第7話 告白
藍沢(山下智久)は、祖母・絹江(島かおり)が認知症で、自分の顔すら覚えていないことにショックを受けていた。
一方、白石(新垣結衣)は、森本(勝村政信)や冴島(比嘉愛未)らとともに、嘔吐(おうと)と腹痛を訴えて成田空港から搬送されてきた大柄な女性の処置をする。
実はその女性は、バンコクで性転換手術を受けてきた大山(古本新乃輔)という男だった。
そのころ、電動車椅子に乗った田沢悟史(平山広行)と、その母親・俊子(大塚良重)が冴島を訪ねてくるが、冴島は何故か動揺している様子。
そんな折、ドクターヘリの出動要請が入る。千葉中央裁判所で、36歳の男性が公判中に嘔吐し、胸痛を訴えているのだという。
森本とともに現場に向かった緋山(戸田恵梨香)は、ランデブーポイントにやってきた救急車から、患者とともにスーツ姿の三井(りょう)が現れたことに驚く。
なぜならその患者は、三井を医療ミスで訴えていた真壁(阿南健治)であり、裁判の途中で倒れたのだった。
この回は「過去」がテーマ。冴島が余命いくばくもない恋人を受け止める勇気がなく、一度は離れたとしても誰がそれを責められるでしょうか。
三井にも決して忘れることのできない過去があり自分を責め続ける毎日。誰しも自身の贖罪と戦いながら生きていくのでしょうね…
第8話 避けられぬ決断
藍沢(山下智久)は三井(りょう)、冴島(比嘉愛未)とともに、夏祭りの山車が倒れ、その下敷きになった福島達夫(平賀雅臣)をヘリで搬送。
達夫の腹部には、山車の一部と思われる木片が刺さっていたが、黒田(柳葉敏郎)とともに木片を除去することに成功する。
そのころ藍沢の祖母・絹江(島かおり)がリハビリ病棟に移ることになった。
藍沢は絹江に「また顔を出すから」と話しかけると、絹江は藍沢に向かって「今度孫が来てくれることになったの」と嬉しそうに話す。
翌日、消防本部からヘリ要請。化学工場でボイラー火災が起き、多数の熱傷患者が出ているという。
現場へ急行する黒田、白石、冴島。
そこで白石は、事故現場に取り残された患者を助けようとして安全確認をする前に事故現場に入ってしまう。
危険を感じ、必死に白石を止めようとボイラー室に入っていく黒田。
次の瞬間、天井から崩れ落ちてくる鉄骨から白石を庇おうとして下敷きになってしまい・・・。
夏祭りの山車の木片が腹部に刺さったシーン。ドラマでは脳神経外科医の藍沢が消化器外科の処置をスムーズにこなすシーンは、医療監修の素晴らしさを感じたシーンでもありました。
また、医療現場では元気そうに見える人が一番重症だったりと、日常的に病院で起きているであろう症例も取り上げており、アイドルが出ている人気ドラマではなく「本格的な医療ドラマ」であることを感じさせてくれました。
第9話 壊れた絆
藍沢(山下智久)は、爆発事故の現場で落下物に右腕をはさまれてしまった黒田(柳葉敏郎)を救出するために、その場で黒田の腕を切断。
白石(新垣結衣)、緋山(戸田恵梨香)とともに救命救急センターに搬送する。
森本(勝村政信)は、藍沢とともに緊急オペに入り、切断された右腕の接合手術を開始。幸い、接合だけは出来たものの大幅な機能回復は見込めない。
黒田の事故を受け、翔北病院では安全管理委員会が開かれた。出席者は救命センター部長の田所(児玉清)、森本、そして事故現場に行った藍沢、白石、緋山、冴島(比嘉愛未)、梶(寺島進)だ。
事務長の春日部(田窪一世)や弁護士の相馬(隈部洋平)は、白石や藍沢に対して厳しい言葉を浴びせると同時に、半人前であるフェロードクターを現場に行かせたことに問題があると指摘。
ドクターヘリの存続にかかわる大問題に発展してしまう。
コード・ブルー全シリーズの中でも心に残る回。1season最大の見せ場といっても良いでしょう。白石を庇って医師生命を閉ざされた黒田先生。
黒田の腕を切断する決心をした藍沢も、自分のせいで黒田の人生を奪ったと責める白石も、ずっと自問自答を続けながら、それでも医師としての使命を果たしていこうとする強さにつながっています。
2season、3seasonにもつながる重要な回です。
第10話 揺れる心
藍沢(山下智久)は、森本(勝村政信)、冴島(比嘉愛未)とともに、電気の配線工事中に約10メートルの高さから落ち、ショック状態になっている患者をヘリ搬送。
藍沢は、白石(新垣結衣)や緋山(戸田恵梨香)とともに患者の処置にあたるも、挿管に手間取るなど、いつもの藍沢とはどこか様子が違う。
FASTと呼ばれる超音波検査を担当していた白石も、胸部の出血を見落としていることを緋山に指摘されてしまう。
そのころ脳外科の西条(杉本哲太)は、黒田(柳葉敏郎)の息子・健一(今井悠貴)のオペを開始。
健一の脳腫瘍は言語中枢に近い場所にあるため、覚醒下で行う「アウェイク手術」によって慎重に行っていた。
そのころ白石は、救急救命部部長の田所(児玉清)に辞表を提出する。田所は「いったん預かっておくが、ここで逃げたら戻れなくなりますよ」と白石に告げる。
その夜、急患の受け入れ要請が入る。患者は妊娠36週目の妊婦で本棚の下敷きになったのだという。
患者はすでに何件かの病院を断られているため、三井(りょう)は患者の受け入れを決意。
患者は骨盤を骨折しており一刻の猶予もない。藍沢は「母体を優先させる」と判断するが、三井は決めかねていた。
どんなに名医と言われる医師であっても「迷い」が無いとは思えません。医療に失敗があってはなりませんが、どちらかの道を進んでみなければ次の道は見えてきません。
「優先させるのは母体が赤ちゃんか」のような究極の選択を日常的に行っている医師たちに、敬意を表した回でした。
第11話(最終話) 生と死
高速道路のトンネル内で多重衝突事故による火災が発生。負傷者は少なくとも50人以上いると思われ、大規模事案として認定された。
ヘリで事故現場に急行した藍沢(山下智久)は、その惨状を目の当たりにして、さすがに動揺する。
黒田(柳葉敏郎)は、白石(新垣結衣)と緋山(戸田恵梨香)にもヘリで現場に行くよう指示すると同時に、森本(勝村政信)と藤川(浅利陽介)には患者の受け入れ準備を指示。
三井(りょう)は藍沢に、トンネル内にとり残されているケガ人を重傷度や緊急度で分別する「トリアージ」を命じた。
冴島(比嘉愛未)とともにトンネル内へと入る藍沢。するとそこに、腕から血を流している女性・小西(肘井美佳)が助けを求めてくる。
小西の恋人・谷口(大橋智和)が、トラックの下に潜りこむようにして挟まれていたのだ。
一方、白石と緋山は、澤野良江(山下容莉枝)という女性の治療にあたる。良江は、夫と息子がまだトンネル内にいる、と叫んでいた。
ほどなく、良江の息子・秀明(高木涼生)が警察官に付き添われてやってきた。だが、夫の明夫(遠山俊也)の安否は依然不明。
良江が腹腔内出血を起こしていることを知った緋山は、彼女をヘリで病院まで搬送しようとしたが、良江は、夫が戻ってくるまではここにいると懇願する。
トンネル内では、谷口の救出作業が始まっていた。だが、救出までにはまだ時間がかかりそうだった。藍沢は、その場で谷口の治療を開始するが・・・。
最終回にふさわしく、フェローたちの成長が感じられるシーンが多々ありました。
ただし成長すればするほど「あれで良かったのか」と後悔したり、選択肢が増えた分、迷いや戸惑いが然増えていくのは、医療には素人の私たちも同じですね。
黒田先生の腕を切断したことは藍沢にとって忘れられない出来事で、今でも自分の判断は正しかったのかと自問自答する毎日。
黒田先生が最後に、「お前が(腕を切断し)命を救ってくれたおかげで、俺は生きて息子に会えた」というシーンはドラマの締めくくりにふさわしい感動的な場面でした。
コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~ 1st seasonを見る方法
◆DVDを購入する
◆DVDをレンタルする
DVDのレンタルはTSUTAYA DISCASがおすすめです。
1回に2枚しか借りられませんが「返却期限がなく違約金もない」ので、暇な時にのんびり見たいという方にはぴったりの方法です。
◆動画配信サービスで見る
「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命」は、season1~season3、劇場版、特別編「もう一つの戦場」全てFODで視聴することができます。
最後に
ドクター・ヘリは今でこそ誰もが知る医療システムですが、当時は「それ何?」という方も多かったことでしょう。
そんな「ドクヘリ」を一般人に広め、将来医師になりたい、フライトナースになりたいという夢を抱かせ、救急医療の人材確保につながったという点では、医療ドラマの存在意義を知らしめた貴重な作品だと思います。
主演の山下智久さんも、それまでの「山ぴー」という甘いイメージから脱却し、寡黙で凛とした大人のイメージを打ち出すきっかけとなりました。
ブラックペアンの渡海先生がニノ(二宮和也)以外に考えられないのと同様に、もはや山ピー以外の藍沢先生は考えにくい。
その点でも「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~ 1st season」は山下智久さんの原点といっても過言ではないでしょう。