織田裕二主演の医療ドラマと言えば「振り返れば奴がいる」をイメージする方が多いと思いますが、実は、ドラマ「真夜中の雨」でも、司馬先生の面影たっぷりな外科医を演じているのをご存知でしょうか。
おまけに「石黒賢」さんとも共演しており、まさに「振り返れば奴がいる」の再来か?と思いきや、医療ドラマの中にも事件がらみのサスペンスがあったり、心に傷をもつ女刑事との成り行きや衝撃のラストなど、一時も目が離せない面白さ!
キャストに医療ドラマ出演者が多いのも見ものですよ。
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ドラマ「真夜中の雨」
放送日 | 2002年10月10日~12月19日 |
脚本 | 福田靖 |
音楽 | 住友紀人 |
プロデュース | 伊佐野英樹、瀬戸口克陽 |
医療監修 | 北里大学病院 |
ロケ地 | つくば国際会議場 総合川崎臨海病院 東京医科歯科大学歯学部付属病院 青山ラピュタガーデンAltomond 東京拘置所 本町ビル(横浜) 拓殖大学 他 |
主題歌 | 織田裕二「そんなもんだろう」 |
制作 | TBS |
主なキャスト
役名 | キャスト | 役柄 |
---|---|---|
都倉隆 | 織田裕二 | 泉田病院外科医。仙台の大学病院で医局制度にうんざりしていた頃、安藤に引き抜かれた |
水澤由希子 | 松雪泰子 | 渋谷南署刑事。幼いころに溺れた経験がトラウマになっている |
安藤浩 | 石黒賢 | 泉田病院事務長。事件を握る鍵を握っている |
広田マキ | 田中美里 | 泉田病院主任看護師。機械出し担当。事務長の恋人 |
泉田俊介 | 阿部寛 | 泉田病院外科主任。院長の長男で病院の跡を継ぐために帰国 |
泉田信哉 | 松岡俊介 | 泉田病院レントゲン技師。院長の次男 |
泉田香織 | 山田麻衣子 | 院長の長女。父親への反発で医者嫌いだが、都倉に興味を持ちはじめる |
泉田慶一郎 | 長塚京三 | 泉田病院院長。鉄道模型のジオラマが趣味 |
泉田佳代子 | 泉晶子 | 院長の妻 |
熱川治虫 | 渡辺いっけい | 泉田病院外科医 |
粕谷賢司 | 芹澤名人 | 泉田病院外科医 |
目黒はじめ | 三宅弘城 | 泉田病院外科医 |
樋口功一 | 佐藤二朗 | 渋谷南署刑事。水澤の上司でたびたびフォローする |
三輪忠志(田中茂) | 佐戸井けん太 | 21年間植物状態の患者 |
及川一馬 | 東幹久 | 強盗殺人事件の指名手配犯 |
片桐邦夫 | 大沢樹生 | 富山で暴行事件を起こした容疑者 |
佐久間浩太 | 吉武怜朗 | 及川に殺害された被害者の子供 |
あらすじ
第1話 危険なめぐり逢い
教授に利用されるだけの大学病院の仕組みに嫌気がさした都倉隆(織田裕二)は、ヘッドハンティングされた泉田病院に異動することになった。着任初日は、泉田病院の25周年パーティーに参加する予定だったが急患の要請が入る。
院長の泉田(長塚京三)は断れというが、都倉はその指示を無視してオペを決行。その患者は、指名手配中の及川一馬(東幹久)。水澤刑事(松雪泰子)に逃げ込んだプール際で、至近距離から胸を打たれて瀕死の重傷だった。
及川は一命は取りとめたものの水澤刑事の様子がおかしい。水澤は子供のころに溺れた経験から水に対してトラウマがあり、プールを目の前にして正常な判断ができなかのだ。
一方、泉田院長は自分の指示を無視してオペを強行した都倉をクビにするつもりでいたが、病院に報道陣が押しかけている様子を目の当たりにして、いい宣伝効果になると判断。都倉は「指名手配中の犯人の主治医」として注目される。
第2話 彼の悲しい告白
内科から心筋梗塞の三枝(平泉成)が回されてきた。三枝はすでに2度を発作を起こし今度発作が起きたら命の保証はない。
都倉(織田裕二)はその手術を自ら買って出るが、病院は、系列である慶明医大に送り、教授が執刀すれば仮に死亡したとしても問題にならないと譲らない。
実は三枝は水澤刑事(松雪泰子)の警察時代の恩師で、見舞いに訪れた際、水への恐怖心から捜査に失敗したことを相談していた。水澤は都倉に、何としてでも三枝を助けて欲しいと懇願する。
ある日、バーで都倉と院長の息子で外科主任でもある俊介(阿部寛)が飲んでいるところに水澤が訪れる。その際に成り行きで自分が水に恐怖心があることを打ち明けるも、都倉は「あなたの傷は外科では直せません」と告げる。
そんな矢先、三枝の容態が急変。翌日、予定どおり慶明医大に送ることになったが、院長(長塚京三)は水澤に「今日中に何かあったら病院は責任をとれるの!」と詰め寄られ、都倉がオペをすることになったのだが・・・。
第3話 21年間も眠り続ける男の正体
21年間植物状態で入院している田中茂(佐戸井けん太)に覚醒の兆しがあらわれた。都倉はカンファレンスで田中が植物状態になったときの事情を聞くも、担当医の熱川(渡辺いっけい)や院長の次男で放射線技師の信哉(松岡俊介)も詳しいことは知らないという。
看護師の広田マキ(田中美里)が「田中さんの指が動いた」と報告しても誰も信じようとしない。おまけに都倉が田中の検査を提案しても、院長はなぜか、その必要はないという。
そんなある日、都倉は水澤にカフェに呼び出し、調べて欲しいことがあると告げる。それは21年前に山梨で起きた交通事故についてだという。
水澤は元カレの宇波(乃木涼介)に頼み、都倉に頼まれていた事故のデータを受け取ったが、その中の1件に目が釘付けになっていた。
第4話 胸が引き裂かれる辛い思い出
泉田病院で21年間眠り続ける患者、田中(佐戸井けん太)の本名は三輪忠志。なんと由希子(松雪泰子)の実の父親だった。
衝撃を受けた都倉(織田裕二)と由希子(松雪泰子)は院長(長塚京三)に詰め寄るが、院長の答えは、昔世話になった医師に頼まれて山梨の病院から転院させただけだという。
都倉は熱川先生(渡辺いっけい)と共同で三輪(佐戸井けん太)の担当医となり、覚醒にむけて積極的治療をすることに。
その頃由希子は、暴行傷害事件を起こして逃走中の片桐(大沢樹生)が、都倉の知人であるという情報を入手していた。
数日後、都倉の前に現れた片桐に対し自首をすすめるも、近くを通りかかったマキ(田中美里)を人質にして抵抗。昔の都倉は金の亡者だったなどと口走る。
第5話 森に消えた男の驚くべき正体
都倉(織田裕二)と由希子(松雪泰子)は21年前の事故の真相を探るべく、山梨県富士美警察を訪れていた。当時の通報者から都倉の母、亜紀枝(八木小織)が働いていた養護施設で、何度か同じ男を見かけたと言うがそれが誰だかはわからない。
その頃、泉田病院では安藤(石黒賢)の発案で設立した関連会社が多額の赤字を抱え、安藤は院長(長塚京三)からプレッシャーを欠けられていた。
その話を聞きつけた俊介(阿部寛)はドクター一人あたり年間100件のオペをこなし病院の評判を上げることだと提案していた。
そんな中、都倉(織田裕二)と由希子(松雪泰子)は都倉の母の知人である橘真理子(高林由紀子)の元を訪ねていたが、真理子は胸部解離性大動脈瘤で昏睡状態だった。そこへ安藤から連絡が入り、大事な話があるから病院に来て欲しいと言われ・・・。
第6話 彼が動き出す
樋口(佐藤二朗)の息子がアスレチックジムから転落し、意識不明で運ばれてきた。その日は離婚した樋口が月に一度だけ息子に会うことを許可された日だった。
応急処置をして様子を見守る都倉(織田裕二)のもとに、真理子(高林由紀子)の意識が戻ったという連絡が入る。都倉は真理子の病室に行き、昔の写真を見せて院長の泉田慶一郎(長塚京三)について聞くと「隆君のお父さんです..」と衝撃の告白を受ける。
その後、三輪(佐戸井けん太)の病室にいる由希子(松雪泰子)のもとに、何食わぬ顔をして院長が診察に訪れるが、都倉が自分の子供だということを隠している院長を許せず治療を拒否してしまう。
一方都倉は、院長が本当に自分の父親なのか確かめるために、院長のヒゲを採取しDNA鑑定に出していたが、結果は「親子」と断定され、ショックが隠しきれないでいた。
その頃泉田病院では、外科主任の俊介(阿部寛)と事務長の安藤(石黒賢)との間で経営方針が食い違い対立していた。
第7話 父の深い衝撃
第二外科主任に抜擢され、日に日に評価が高まっていく都倉(織田裕二)の様子に、第一外科の俊介(阿部寛)は面白くない。そのため第一外科と第二外科の間に大きな溝が出来始める。
そんなある日、院長の娘の香織(山田麻衣子)の誕生日が近づき、香織は家に都倉を招待したい様子だが、兄の信哉(松岡俊介)曰く、病院が険悪ムードだから無理だという。
香織は仕方なく自分の方から都倉に会いに行くが、そこで都倉は、香織が生まれたのは、自分の母親が事故死した21年前の11月23日だと知り衝撃を受ける。
第8話 父と二人の息子
院長の慶一郎(長塚京三)が倒れた。病名は重度の「心筋症」でバチスタ手術でしか助かる見込みはない。自らの病を把握した慶一郎は、都倉(織田裕二)に自分の手術を命じた。
2人の話を立ち聞きした俊介(阿部寛)は2人が親子であること知り愕然とする。また、少なからずとも院長を恨んでいる都倉に、バチスタ手術をさせるわかけにはいかないと決心する。
俊介は熱川先生(渡辺いっけい)に、自分が父親のオペをするから出身大学からバチスタのスタッフを紹介してくれるように頼んだが、当日になって急遽来られなくなったという。
絶体絶命の状況に追い込まれた俊介は都倉に頭を下げ「院長を助けて欲しい」と手術を任せるのだが・・・。
第9話 すべては偶然ではなかった!
21年前の事故現場に慶一郎(長塚京三)ともう一人男がいたことがわかる。由希子(松雪泰子)は樋口(佐藤二朗)と協力してその男を追い始める。
一方、覚醒の兆候が見られる三輪(佐戸井けん太)に対し、環境を変えてみることを提案。そのうちに、三輪が反応を見せるのは決まって子供の声がする時だということに気づく。
その頃病院では慶一郎の退院を祝っていたが、そこへ安藤が血相を変えて飛び込んできた。手に持っているFAXには「都倉は院長が愛人に産ませた子」と書かれていた。沈黙が流れる中、院長は「真実だ」と告白する。
皆が動揺する中、都倉(織田裕二)も真実が暴露されてしまいショックを受けていた。特に香織は恋心を抱いていた男が自分の異母兄弟だと知り愕然としていた。
その様子を見ていた看護師のマキ(田中美里)は自宅でしばらく香織の面倒を見るという。
そんなある日、三輪の病室の窓が開けっ放しになっていた。風邪でもひいたら三輪にとっては命取りになる。一体誰が何のためにやったのか・・・。
第10話 真犯人
21年前の犯人が安藤(石黒賢)だと確信した都倉(織田裕二)は、安藤の様子を監視することに。回復の兆しがみられる三輪の部屋の前にも警備員が配置された。
その頃泉田病院は、患者が減る一方で深刻な経営難に陥っていたが、実は慶明医大の嫌がらせで患者を大学病院に転院させていたのだった。
そんなある日、一瞬警備が手薄になった時間帯を見計らったかのように、三輪の部屋に男が忍び込み、気管挿管のスイッチを外そうとしていた。その男はなんと事務長の安藤だったが、間一髪で都倉が阻止し取り押さえられる。
安藤は21年前の事故は自分がやったと告白するのだが・・・。
最終話 雨の終わるとき
泉田病院は、事務長が殺人の容疑をかけられて逃亡するという前代未聞の事件により、患者はさらに激減した。
おまけに熱川(渡辺いっけい)を筆頭にほとんどのドクターが引き上げることになり、病院の存続が危ぶまれていた。都倉は泉田病院の規模を縮小し、心臓外科専門病院として再生することを提案するも、俊介(阿部寛)と慶一郎(長塚京三)は納得しない。
その頃、逃亡中の安藤から恋人のマキ(田中美里)に連絡が入る。安藤はまだ何かを隠している様子で「三輪は自分の手で殺す」という。しかし、三輪には肺塞栓のおそれがあり今オペをしなければ助からないかもしれない。
慶一郎は肺の症例を多く手掛ける自分が執刀するというが・・・。
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見どころ
織田裕二VS石黒賢
二人の競演はこれが2度目。この作品でも二人が最後までバトルを繰り返します。ただし今度は医師と事務長という立場。おまけに自分の母親が死んだ事件にかかわっているかもしれないというストーリー展開に目が離せません。
ちなみに実際の医療界でも、コストのことなど考えていないドクターと、理事長あたりからコスト削減で圧力をかけられている事務長というのは普通にみられる構図ですけどね。
「振り返れば..」を彷彿させる脚本
「振り返れば」も「真夜中」も、どちらも福田靖さんが脚本を担当しているため似たような雰囲気が感じられますが、むしろファンにとっては「振り返ればの再来」のようでうれしい限りです。
織田裕二演じる外科医は、どちらもクールであえて冷たい人間を装っているけど、ほんとは人の痛みがわかり、医師としての使命感に燃えているのはどちらも同じ。
織田ファンにとってはたまらない作品に仕上がっています。
医療ドラマ&ミステリー&刑事ドラマ
「振り返れば..」が医療ドラマ&ヒューマンドラマだったのに対し、「真夜中」は医療ドラマ&ミステリー&刑事ドラマと見ごたえ満点。
ただし一話完結ではないので、途中抜けてしまうと謎解きがむずかしくなるかも。この作品は全話視聴することをおすすめします。
豪華キャスト
このドラマは、なぜか医療ドラマにたくさん出演している俳優さんぞろいです。例えば、
- 長塚京三:「ナースのお仕事」
- 渡辺いっけい・松雪泰子「救命病棟24時」
- 東幹久:「やまとなでしこ」
- 阿部寛:「チーム・バチスタの栄光」
- 三宅弘城:「監察医朝顔」
- 石黒賢:「ディア・ペイシェント〜絆のカルテ〜」
というように、いい意味で本格的な医療ドラマに思えるのもキャストの影響かもしれません。
「真夜中の雨」「振り返れば奴がいる」視聴率比較
どちらも面白かったので、視聴率が気になって調べてみました。「振り返れば奴がいる」の最終回だけ飛びぬけてるのがなんとなく納得。
ただしどちらも安定した視聴率なので、それだけ楽しみにしていたファンが多かったと言えるでしょう。
「真夜中の雨」
サブタイトル | 視聴率(%) |
---|---|
第1回「危険なめぐり逢い」 | 14.4 |
第2回「彼の悲しい告白」 | 12.7 |
第3回 「21年間も眠り続ける男の正体」 | 14.3 |
第4回 「胸が引き裂かれる辛い思い出」 | 13.7 |
第5回 「森に消えた男の驚くべき正体」 | 12.5 |
第6回「彼が動き出す」 | 13.6 |
第7回「父の深い衝撃」 | 13.3 |
第8回「父と二人の息子」 | 14.0 |
第9回 「すべては偶然ではなかった!」 | 14.4 |
第10回「真犯人」 | 13.4 |
最終話「雨の終わるとき」 | 13.9 |
平均視聴率 | 13.7 |
「振り返れば奴がいる」
サブタイトル | 視聴率(%) |
---|---|
第1回「おまえが嫌いだ」 | 12.7 |
第2回「おまえが殺したんだ」 | 16.7 |
第3回「追いつめる」 | 14.8 |
第4回「死にたがる患者」 | 16.0 |
第5回「致命的な失敗」 | 16.6 |
第6回「過去に何があった」 | 16.6 |
第7回「告知」 | 17.2 |
第8回「新記録」 | 16.1 |
第9回「敗北」 | 16.8 |
第10回「最後の対決」 | 18.8 |
最終話「別離(わかれ)」 | 22.7 |
平均視聴率 | 16.8 |
口コミ
医療ドラマまにあとしての感想
「振り返れば」の面白さはそのままで、ミステリーや刑事ドラマの楽しさも味わえるんだから、面白くないはずがありません。
最初の展開から、ひょっとして恋の話も登場するかと思いきや、そこは意外とあっさり。でもそれもあったらもうお腹いっぱいだったかも、と思えるほど毎回中身の濃い展開でした。
実は織田さんは、こでまでのほぼすべての作品で『ここはこうした方がいいんじゃないですか?』と提案しているのだとか。現に「振り返れば」のラストシーンも織田さんの一言で急遽変更になりましたからね。
あれから20年。55歳になった織田裕二さんはメディアに登場する機会が少なくなりましたが、ファンの中には、外科医の姿や「東京ラブストーリー」の完治(かんじ)役、「踊り大走査線」の「レインボーブリッジ封鎖できません!」の名シーンが脳裏に焼き付いていることでしょう。
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