ドラマ「死の臓器」は腎臓移植に一生を捧げた万波誠医師の実話だった!

ドラマ
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こんな面白いドラマを見ていなかったなんて…。

今回、U-NEXTのお試し期間を使い切るために何気なく視聴した連続ドラマ「死の臓器」。蓋を開けてみれば台湾ロケもある本格的医療サスペンスでラストまで一気に見てしまった!

この記事では連続ドラマ「死の臓器」のあらすじを振り返りながら、ドラマの背景にある臓器売買の実態、腎臓移植の現状、そして生涯かけて腎臓病の患者と向き合ったある一人の医師について解説します。

心臓や肝臓移植がテーマの作品はあっても腎臓移植に目を向けたドラマは少ない。是非、みなさんも臓器移植の現実をのぞいてみてください。

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連続ドラマ「死の臓器」

医療監修・ロケ地

放送日2015年7月12日~8月9日 日曜夜10時~ 全5話
原作麻野涼「死の臓器」文芸社文庫
脚本高山直也、鈴木智
監督佐藤祐市、植田泰史
音楽末廣健一郎
医療監修原義明
堀江リカ
ロケ地医療法人社団悠心会 森田病院
富士宮市役所
帝京科学大学千住キャンパス
さくら記念病院
四街道徳洲会病院 他

キャスト

引用:U-NEXT
役名キャスト役柄
沼崎 恭太小泉孝太郎テレビ制作会社「イフプロ」ディレクター
雨宮 由香里小西真奈美テレビ制作会社「イフプロ」ディレクター。沼崎の元カノ。沼崎を「イフプロ」に引き入れた
野呂 三樹夫大高洋夫「イフプロ」社長。高視聴率を得るためには手段を選ばない
日野 誠一郎武田鉄矢療生会日野病院院長。愛想はないが移植の腕は高い
大田 勇小木茂光救愛記念病院院長。上原を利用して政界進出を目論んでいる
上原 宗助柴俊夫衆議院議員
並川 良子新妻聖子上原の娘で議員秘書をしている。やがては父のポストを受け継ぐ立場にある
白井 守豊原功補山梨県富士鳴沢署の刑事
船橋 甫川野直輝臓器売買のブローカー。元製薬会社のMR(営業社員)
王小紅桜井ユキ船橋に騙されて無理やり腎臓移植のドナーにさせられた
王小芳高橋未希台湾の大学に通う王小紅の妹。行方不明の姉を探している

あらすじ

◆第一話

テレビ制作会社「イフプロ」のディレクター・沼崎恭太(小泉孝太郎)は、番組制作のために樹海を捜索中、女性の遺体を発見する。

現場にかけつけた刑事の白井守(豊原功補)は違和感を感じた。なぜならその女性は真っ赤なコートを着てハイヒールを履いており、とても自殺するような格好ではなかったからだ。

おまけにその遺体には脇腹に手術痕があり、解剖の結果、腎臓が摘出されていたことがわかる

その頃、救愛記念病院に運ばれた男女も腎臓移植が行われた形跡があり、この腎臓が金で売買されたことを知った沼崎は、遺体と臓器売買の闇を取材する決心をする。

その手術を執刀したのは療聖会日野病院の院長・日野誠一郎(武田鉄矢)であることが判明するのだが・・・。

◆第二話

沼崎と白井は、樹海の遺体が殺人ではないかと疑い始める。

その頃マスコミは日野医師が臓器売買に関わっているのではないかと一斉に報道。厚労省による立ち入り検査が行なわれ、日野医師が「レストア腎移植」(がんなどに侵された腎臓から病変部分を切除し移植)という、日本では正式に認められていない術式で手術を行っていたことが判明する。

沼崎と白井はそれぞれ取材と捜査を続けるうちに、樹海の遺体の身元が日本人ではない事がわかる・・・。

◆第三話

樹海の遺体は台湾人だという。遺体の身元をあきらかにするために台湾に渡った沼崎は、ドナーを探している患者家族のフリをして船橋甫(川野直輝)という臓器売買ブローカーと接触する。

沼崎は潜入取材を進めるうちに、船橋に案内されたクラブで王小芳(高橋未希)という女性と出会う。小芳は沼崎に、日本へ行ったまま行方がわからなくなっている姉を探して欲しいと訴える。

その頃日本では、マスコミの過熱報道によりによる日野医師へのバッシングが強まる中、移植手術が必要な人工透析患者・治子(長野里美)の容態は日に日に悪化。

娘の裕美(小島藤子)は、母に自分の腎臓を移植してほしいと日野に訴えるが、生体腎移植はリスクもあり日野はなかなか了承することができずにいた。

人工透析とは

腎臓の機能が低下すると、体内の余分な水分や尿毒素を体外に排泄することができなくなり、尿毒症という状態になります。

この状態を放置すると生命に危険が及びます。 弱った腎臓の代わりに、透析で水分や尿毒素を抜くのが透析療法(人工透析)です。

人工透透析には血液透析と腹膜透析がありますが、どちらも腎機能の一部しか代償できないため、尿毒素が高い状態が続き、健康な人と同様の体調にはなりません。

また、治療の影響で日常生活における時間的、身体的制約が大きな問題になります。透析以外の治療法として、腎臓移植を選択することができます。

腎移植には2通りの方法があり、元気な家族・親族から腎臓をもらう「生体腎移植」と、お亡くなりになった方から提供してもらった腎臓を移植する「献腎移植」です。

引用:兵庫医科大学病院
死の臓器

◆第四話

沼崎と白井(豊原功補)の調べで、樹海の遺体が小芳の姉・王小紅(桜井 ユキ)である事が判明する。

船橋から逃れ日本へ帰国した沼崎は、白井と連携して船橋の捜査を進める中、船橋が救愛記念病院の大田と裏でつながっていることを突き止める。船橋は大田に「透析センターを作れば儲かる」などと入れ知恵していたのだ。

調査委員会とマスコミによる日野への糾弾が続く中、沼崎も日野への直接取材を行なおうと考えていた。

そんな中、日野に命を救われた患者たちが立ち上がり日野を援護するとともに、国に「レストア腎移植」を認めさせる運動を始めた・・・。

◆最終話

白井は、日本へ強制送還され逮捕された船橋の取り調べを始めていた。一方沼崎は、船橋と樹海の遺体との関係、そして救愛記念病院との裏工作を暴くため大田を追及するも、これといった確証が得られない。

そんな中、日野医師のもとに「レストア腎移植」に適合するドナーの手術の連絡が入るが、日野は迷っていた。この混乱の中レストア手術を強行すれば医師免許の剥奪は免れない。

その頃沼崎は白井と一緒に、死亡した王小紅とかつて一緒に暮らしていたという台湾人に出会う。彼女の部屋で沼崎たちが見つけたのはある女性のカルテだった。

そこに書かれていた名前は・・・。

見どころ

ドラマのモデル「万波誠」医師にかけられた疑惑

ドラマのモデルとなった医師は、当時、宇和島徳洲会病院に勤務していた「万波誠(まんなみ まこと)」先生。

腎臓移植を海外で学び、これまでに約1,000件の腎臓移植手術を執刀されていますが、その熱心さから、当時は「移植マニア」などと揶揄されていたのだとか。

万波医師のプルフィール
  • 1940年10月19日岡山県生まれ
  • 1969年:山口大学医学部卒業
  • 1970年:愛媛県宇和島市立病院に勤務
  • 1975年:アメリカ・ウィスコンシン大学留学し、外科医ベルツァー(Folkert O. Belzer)の元で腎臓移植を学ぶ
  • 1977年:宇和島市立病院初の腎臓移植手術。これまでに約1,000件の腎臓移植手術を執刀
  • 2004年:宇和島徳洲会病院に異動
  • 2022年4月:岡山県笠岡市立市民病院へ異動
  • 2022年10月14日、心筋梗塞のため岡山県備前市の病院で死去。81歳

【評伝】移植手術に人生かけた万波誠医師を悼む 「ブラックジャックの腕を持つ現代の赤ひげ」:東京新聞 TOKYO Web
愛媛県宇和島市の病院で数多くの移植手術をしてきた万波誠医師が14日、故郷の岡山県内で亡くなった。81歳だった。腎臓の病変部分を取り除き...

宇和島臓器売買事件

2006年2月。ある女性が「知人に頼まれて腎臓を提供したのに貸していた金を返してもらえない」と愛媛県警察へ相談。宇和島署は臓器移植法違反(臓器売買の禁止)の疑いで、移植を受けた男性と仲介した内縁の妻を逮捕、ドナー(女性)も書類送検された。

逮捕された男性患者は、慢性腎不全で2004年から宇和島徳洲会病院に通院。泌尿器科部長であった万波医師の診察を受けながら人工透析を続けていたが、症状が悪化したため万波の勧めもあって移植手術を決意。

当初は内縁の妻が腎臓を提供する予定だったが医学的理由により断念。他に提供者もいなかったため、当時200万円の借金をしていた女性に「腎臓を提供してくれたら300万上乗せして返すから」と説得。2006年9月、その女性は患者の妻の妹と偽って移植手術が行われた。

その時の捜査がきっかけで、癌などの病気で摘出された臓器を移植に使う、いわゆる「レストア腎移植」が行われていたことが発覚した。

この一連の事件に関し2人の被告は「万波先生には初めから他人であることや、謝礼云々についても話していた」と供述したが、万波医師は「そのような事実は一切ない」と否定したため責任は問われていない。

病気腎移植問題(レストア腎移植)

上記の事件がきっかけで発覚した病気腎移植問題。具体的には癌や肝炎などに冒されている患者から腎臓を摘出、病変だけを取り除き腎不全患者に移植するというものだ。

病気腎移植は欧米では普通に行われている治療であるが、日本では移植医療そのものが遅れており、この事件に関しても、レストア腎移植により持ち込まれたB型肝炎ウイルスがレシピエントの死因となった可能性は否定できない、またインフォームド・コンセントが口約束だけで書面でかわされていないなどの批判が集中した。

また万波医師は、移植後に問題が起きると途端に冷たい態度を取る、頑固で人の忠告を聞こうとしないなど、攻撃の矢は人格にまで及んだ。

反面、万波医師の素朴な人柄と手術の腕に崇拝する患者や支持者は多く、2018年に放送されたドキュメンタリー番組でも患者と同じ目線で治療に望む姿勢が見て取れる。

その後も、万波医師の修復腎移植により社会復帰を果たした患者、その他、現在でも治療を受けている患者などが中心となって署名活動を行ったところ、その数は6万人にも達し厚生労働省に提出された。

この署名は日本の腎臓移植の歩みを一歩進めるきっかけとなり、2009年には臨床研究として修復腎移植が再開、2017年に厚生労働省が一部条件付きで先進医療として承認した。

\ 万波誠医師の実話はこちら /

重要な鍵をにぎる台湾ロケ

台湾の夜景

臓器売買の闇に迫る重要なシーンは画像やCGではなく、2015年7月上旬に実際に台湾でロケを行ったのだとか。

台湾の7月といえば35度を超える猛暑の中、台湾随一の繁華街・西門町や五ツ星ホテルである富信大飯店、林森北路など、台湾らしい賑やかな街並みがふんだんに盛り込まれていました。

怖いくらいの武田鉄矢の名演技

武田鉄矢演じる日野医師のモデル万波医師は、どちらかというと無愛想で頑固で人の忠告を聞こうとしない性格だと言われていますから、なんとなく武田鉄矢さんを彷彿させますよね。

序盤「いかにも悪いヤツ」という雰囲気の日野医師が、実は「信念があり目の前の患者を見過ごすことができない熱い医師」だったことがわかり、沼崎(小泉孝太郎)のジャーナリストとしての考え方にも影響を与えることになります。

このドラマでの日野医師は決して優しい顔を見せませんが、このドラマが「リアルすぎて怖い」と良い意味で評判になったのも、武田鉄矢さんの演技が一役買っていることでしょう。

口コミ

怖い!

シリアスな内容のドラマの上に 最終回の始まりのテロップで、赤いコートの死体が 最後にバチっと目を開けて思いっきりビビりました!

2015年1~8月の連ドラで一番良い

「生きる」が臓器移植しかないという現実の患者さんが多いことをあらためて考えさせられました。日本は医療は昔ながらの倫理観と厚労省の変革を望まない体制そして医師の技術不足により先進国とは思われない長い長い立止りの状態であり、もう生きることに制限をかけている贖罪を受け入れる時です。未来につなぐ命を考えれば立ち止まったままは許されるはずはない

マスコミの思い込みによる報道で犯罪者…

マスコミの思い込みによる報道で犯罪者が製造される過程が良く解ります。事件の背景を良く調べもせず自分の主観だけで冤罪を作りだす過程が丁寧に制作されています。

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最後に/腎移植の現状

このドラマを見てわかったこと。

日本には、約35万人の方が末期腎不全で透析を受けていて、その中で約12,000人ほどの方が移植を待っている。その内、実際に腎移植を受けることができるのは毎年約1~2%で、それも登録から移植まで平均で約15年間も待っているのだとか。

なぜ?それは亡くなった方から提供される「献腎ドナー」が少ないからです。

これに対し私はかなりの違和感を覚えました。だって脳死状態で摘出しなければならない心臓や肝臓と違って、心臓死後でも移植の対象になり、ましてや腎臓は2個あるから2人の人の役にたつのになぜドナーが少ないのかって。

そこでいろいろ調べているうちに見つけたのがこの一文。

腎臓・膵臓の移植の場合、心臓が止まって時間が経過すると各臓器への血流が途絶え、急速に機能が衰えて、移植しても臓器が機能しない場合があります。せっかくご提供いただく腎臓などの機能を確保するため、心停止する前から準備(カテーテル挿入とヘパリン注入)をする必要があります。

日本臓器移植ネットワーク

そっか。やはり脳死段階で結論を出さなければいけなのか。

一昔前より「脳死が人の死」だと浸透してきたものの、体も暖かく、眠っているだけのように見える大切な人の死を受け入れられないのも無理はないでしょう。

そんな背景があっての「病気腎移植(レストア腎移植)」。簡単に良いとか悪いとか部外者が語るにはあまりにも無責任な気がします。

ただ一つはっきりしていることは「脳死は人の死」だということです。

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